絶対殺戮しない天使キラララ‼ と絶対殺戮王殺陣寺剣の不殺目録

原寛貴

第一犯 キラララ‼ と殺陣寺剣

「驚いた。まさか一人で……」

 殺戮天使キラララ‼ は思わずそう零す。殺戮天使キラララは担当人間の殺戮王殺陣寺剣という人間を監視していたら、何とエックスビデオで抜いていたのだ。

「いや、そこも凄いけど、それ以上に……」

 そしてネトフリを点け、今更『アオアシ』を観ていたのだ。

「いや、そこも凄いんだけど……」

 そしてその後、闇バイトグループを単身で撃破したのだ。全裸で。

「私は最強おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼」

 殺陣寺は高らかに咆哮する。まあ、最強を名乗っても問題ない強さだろう。恐らくウルフ・アロンでも無理だ。いや、一グループくらいならギリイケるかもしれないが、まあ殺陣寺が凄いことは疑いようがない。

「強すぎ、ヤバい」

 キラララ‼ は少し濡らしてしまった。殺戮天使にとってここまで殺戮力の高い人間は悪魔的に魅力的なのだ。殺戮力とは何だろうか。悪魔的なのか魅力的なのか

「どっちなんだい‼」

「ん? パワーくん?」

 キラララ‼ のパワーワードに、殺陣寺は過剰に反応する。そしてパワーくんではなくきんにくんだ。そんなパワプロくんみたいな名前ではない。いや、そもそもきんにくんというのもパワプロくんみたいな名前なのだが。

「お前、何ていう格好してるんだい‼」

「あ」

 きんにくんみたいなツッコミ方をした殺陣寺だが、まあ致し方ない。キラララ‼ は全裸に両翼という、変態丸出しの露出遊戯に興じていたのだから。ふしぎすぎる遊戯だ。遊戯の王様だ。

「やべえ、見付かったあ。へへ、よろしゅう」

 キラララ‼ はまだ自身のキャラクターを掴めていない。

「それでどうする? 僕は魂を取られるのか?」

「いや、理解が早すぎますよ。まだその段階じゃないでしょ」

 デス脳人殺陣寺を諭すキラララ‼ だが、彼女は一体何の目的で来たというのだろうか。

「そっか。もうそんな時間か」

「いや、GTじゃないですよ」

「久々にいっちょやろうぜ」

「嫌な奴だな。あんまり恥掻かせんなよな」

 キラララ‼ と殺陣寺は軽く組手をするが、

「いや、まだ全然そんな段階じゃないですよ‼ 関係性がゼロの状態じゃないですか‼ 誰が感動するんですか‼」

「GTを懐かしむ世代が」

「ならGT観て下さい‼」

 悟空がいたから楽しかった。

 ドジで明るくて、優しくて。

 そんな悟空がみんな大好きだったから。

 これで、ドラゴンボールの話はおしまい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る