拝啓、主役を目指した者たちへ。

@sena502

終幕した物語

観察記録 ×月×日 名:○○


私が誰かなんてどうでもいい。

そんなの気にする余裕なんてない。


今日は雨時々雷でした。

まるで悲報を聞いた歯車達のように。

まるで何かに取り憑かれたかのようにデモを起こし反抗をする姿が。

腸が煮えくり返るくらいの怒りと悲しみに支配される歯車が。

恐ろしく見えたのは私だけでは無いはずだ。


不可抗力だったと言えば聞こえはいい。

起こるべくして起こったと言えば縁起が悪い。


1度幕を下ろした劇はどれだけのカーテンコールに包まれようと、

拍手を貰おうとも開くことなどない。

歯車もそれ位知っていた。

それでよ戻って欲しいと誰もが思った。

だが本人達に戻る気がないと誰もがわかった。



彼らはいつの間にか欠けてしまった。

その欠けた部分を隠し偽るのが得意なだけだった。

強がりだなんて誰も見抜けなかったのだから流石だ。


1度壊れてしまったものは二度と元の形には戻らない。

戻ることが出来ない。戻れない。

例えどれだけ上手くはめ込み、沢山の愛を注いでも、心の傷は癒せない。


ガラスも一緒だ。

1度かけてしまえばあとは脆くなり崩れていく。

誰も直そうなんて事はしない。

危険だからと遠ざかる。

同じなのでは無いのだろうかなんて私はつくづく思ってしまう。

きっと捻くれた人間だからなのだろう。



とあるお偉いさんは昔こう言った。

「主役になんてなれない」と。

別のお偉いさんはこう言った。

「人生生きていれば誰でも自分の物語の主人公だ」と。

主役になんてなれないと誰が決めたのだろうか?

生きていれば主人公だなんて誰が決めたのだろうか?


色んな考えがある世の中が好きな争いが大好きな、

集団指導でありひとつの国の統領様はこう言った。

「絶対死んじゃダメだ」

この一言で何人もの命が救われたか。

私もそのうちの一人なのだから。

「我々は荒廃と瓦礫の中から再び軍旗が立ち上がるだろう」

いつか言っていたその言葉を信じて良いのだろうか。

それとも。


そんな彼を支える右腕であった彼はこう言った。

「大丈夫。お前ならできる。」

この一言で何人もの人が挑戦しようと歩き出せたことか。

辛くなったら思い出そう。そうすればきっと彼を忘れないから。


甘くて可愛いものが好きなJKのような彼はこう言った。

「迎えに来たよ。」

この一言でどれだけ愛おしく思えたか。彼らしさが愛おしかった。

ずっと覚えていたいなと思えるのだ。


黒髪短髪の優しそうな彼はこう言った。

「ありがとう、待ってたよ。」

この一言でどれだけの頑張りが報われたことか。

優しい彼を忘れたくないなんて思うのだろう。


情報があまり出ていない紫色の彼に。

失踪してしまった彼のいた形跡を何時でもなぞってしまう。

少ない時間のうちにそれくらい彼に夢中になったことか。


姿が分からない彼はこう言われている。

「神は決まった姿容姿を持たない。」

姿や容姿が分からない彼もそれまた愛くるしい。


心無しと言われている彼はこう言った。

「幸せなもんがいるだけ不幸せなもんがおんねん。そんなもんだよ。」

確かに幸せには不幸せがつきものだろう。

彼を誰も忘れることなんてできない。


屑なエンターテイナーと呼ばれる彼はこう言った。

「ただの狂った人だよ。」

そんな彼に魅了されていく歯車達も狂っているのか。狂わされているのか。

どちらにせよ彼は頭に刻まれている。


味方最大の脅威と呼ばれている彼はこう言った。

「死にたくなったら言ってください。助けるんで。」

この言葉にどれだけもう少し頑張ろうとやる気をださせてもらったか。

彼は忘れられない。


不人気と笑われる彼はこう言った。

「諦めない心だよ。」

この一言でどれだけ立ち向かう勇気が貰えたか。

不人気なんて関係ないのかも知れない。


天の声と呼ばれる彼はこう言った。

「ただただ、王道を征く、そんなんがおもろいと思っとるんか。」

たまには鼻で笑われるくらいの考えも重要かもしれない。

そう考えたらこれも忘れられないか。


街コンマスターなんて笑われる彼はこう言った。

「言っとくけど、優しい人はいつまでも優しくないぞ。」

この言葉でどれだけのこれまでの誤ちに目が覚めたことか。

彼は大切なのだ。


外資系なんて言われる彼はこう言った。

「会えてよかったよ。」

こちらこそだ。彼らに会えなければ今頃どうなっていたことか。

彼はこの物語でも重要だ。


詐欺師と呼ばれる彼はこう言った。

「アイツが、待ってるんだ。」

アイツに当てはまる人が心底羨ましく思える。

彼は優秀だから大切なんだ。


数年ぶりに入った新人はこう言った。

「僕の言葉で少しでも誰かの手助けになれるように。」

彼の言葉は丁寧だなんて思えてしまう。

そんな彼も重要だ。





誰1人かけてはいけなかった。

偶然と偶然が重なり合ってひとつの劇になったのだ。

彼らの生きていた時代に生きれたこと神に感謝しよう。

これからも沢山の愛を分け与えられるように。

どうか、ずっと幸せでいて欲しい。


そんな彼らの新しいカーテンコールは開いたばかり。

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