僕と君との30センチ

トヨタ理

❄️1🎅

「何?」


 僕の視線に気づいて、横を歩くアキオがこっちを振り向く。


 148センチの僕と、188センチの君。

 僕が爪先立ちをして、ようやく30センチ差。

 首をぐっと上に向けないと、君の顔が僕の目に映らない距離。


「ううん、何でもないよ。サンタさん」


「あぁー……オレってサンタ? ガチ?」


「何言ってんの。昨日の合格発表見たじゃん」


「つっても実感一ミリもねぇーからさぁ」


 空を見るアキオから視線を逸らして、少し後ろを歩く。

 つま先30センチの距離。


 僕たちの距離はいつも30センチだ。


 手が届きそうで、届かない。

 僕にははるか遠くの、30センチ。

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