任せろ、俺に策がある

黒丸

プロローグ






 その国では、ある青年の任命式を行なっていた




「…西国、ネークル国の撃退及び植民地の奪還」


「隣国、カルーブロスからの休戦きゅうせん要請ようせい


「そして、中央国家クルーラー共和国との平和協定」


「以上のことを成し遂げだ功績の責任者として、貴殿に相応の地位を与える」


 王の横に立つ宰相が、目の前でひざまずくに淡々と彼の功績を告げる


「よってエーメン軍軍師ジニー・アミズ。貴殿を本日を持ち全軍の指揮官兼、軍師に任命する」


「はっ!ありがたき幸せ」


 青年は改めて深々と頭を下げ、王への忠誠心を表す


「では!任命式を修了する。パーティーを開催するので、参加するものは部屋へ!」


 宰相は後ろの貴族にも声が届くように声を張り上げた




****





「アミズ殿!」


 青年、ジニー・アミズはその呼びかけを聞き、ふり返る

 そこには立派な髭を生やした40代程度の男性がワインを二つ持っていた


「これ、どうぞ」


 そのうち一つをジニーに笑顔で渡す


「どうも」


 ジニーは受け取り微笑み返す

 どちらも笑顔だが、互いに互いを見定めている


「ご存じでしょうが、私はエーメン軍…いえ、ジニー・アミズと申します」


 軍師を強調し、勝ち誇るように相手に伝える

 それを聞き、男性は顔を一瞬怪訝そうに歪めたが同じく自己紹介を始める


「もちろん知っておりますとも。私はーー」


「マカヤ・エビス殿…ですよね?」


 ︎︎相手が自己紹介する前にジニーが言い当てる


「おぉ、ご存知でしたか。さすが、その年齢で国家最強軍師と言われるだけの事はありますね」


 誇張された驚きを見せながら、明らかに嫌味の籠った言葉を伝えてくる


「いえ、エビス殿は有名ですから…」


 ジニーは動揺せずに会話を続ける


「お互い大変でしょうが、頑張りましょう」


 先に一歩引いたのはエビスだった

 手を差し伸べ、ジニーに握手を求める


「はい。頑張りましょう」


 ジニーはその手を取り、その日は挨拶回りだけをして帰宅した








「…アイツの言ってた通りになったな」


 そんな言葉が、誰もいない夜の闇へと消えていった







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任せろ、俺に策がある 黒丸 @kuromaru0522

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