第六話 巨大獣バビゴン シャールケンの嘲笑 2
「夜も更けてまいりました。皆様……それでは映画のような夢をお楽しみください。さよなら、さよなら、さよなら」
二人共ようやくテレビ番組を見終わったようだ。
この時代、この後の時間はニュースがあってそれですぐに放送終了だった。
「いいこと、お互い出し抜きは無し、正々堂々勝負しましょう」
「わかりましたわ、一時休戦という事で……ご主人様には手出ししませんから」
何だか嫌な休戦協定が聞こえた気がするが、知らないフリしておこう。
マーヤちゃんとミザーリンは水曜映画劇場の最後のナレーションを聞いた後、そんな事を言っていた。
そしてミザーリンは俺の部屋を立ち去ったのだが、俺の仕事はむしろ今からだと言える。
とりあえずテレビとは別に俺はこの部屋にある大型コンピューターシステムを起動させた。
「えーと、キーワードは――ワシガテンサイ。ワシガテンサイ――」
コイツといい、光速超神ゴッドマグマの風間鷲雅博士といい、どうして科学者系のヤツにはロクなのがいないのかね。
こんなアホなキーワードパソコンのセキュリティーに使うのこの二人くらいのモンだ。
まあそのおかげで簡単にパソコンの中に入れたのだけどな。
俺はスパイドローンカメラの映像を眺めていた。
どうやら北原未来要塞ベースももう今晩は襲撃が無いだろうという事で最低限の警備以外は全員が休憩に入ったようだ。
そして次の日、本来のツチノコ騒動の後日談の話の日、俺は北原未来要塞ベースの会話を傍受した。
「え!? あの小判、防衛隊敷地内に有ったからって防衛隊の物になるのかよ!」
どうやら原作通りツチノコの代わりに小判を見つけるところまでは同じだったようなのだが、この後が違った。
「そうだ。アレはワシが使う。文句は言わさんぞ」
「そんな、あれはどう考えても文化的遺産、博物館に寄贈するのが筋かと……」
「キサマラはワシに逆らうのか! つべこべ言うと反逆罪だ!」
酷いもんだ。
まるで人が変わったかのような三島防衛長官の態度に俺は耳を疑った。
あの高潔な侍とはとても言えないような俗物。
だが彼の声は間違いなく三島防衛長官だった。
ガッダインチームはどうも納得いかないまま普段の生活をしているようだ。
ガッダインチームは住み込みで北原未来要塞ベースに所属している。
だが普段は本来の学生として基地の近くにある岬の上高校の生徒として通学しているのだ。
竹千代だけはコンピューターを駆使した通信教育で帝都大学の論文を書いたりしているので学校には行っていないらしい。
「ちぇっ! 長官もケチだよな。オレ達が見つけたんだから少しは何か奢ってくれるくらいしてもいいのによ!」
「ぼやかないぼやかない。さあ、龍也。急がないと遅刻するわよ」
「ヘイヘイ。あれ? 新しい先生かな」
どうやら岬の上高校に新しい女の先生が赴任したようだ。
だが俺はこの展開を知っている。
彼女の名前は――水原凛――そう、ミザーリンの変装した姿だ。
どうやら昨日俺の部屋でテレビの映画劇場を見終わった後、彼女は地球に小型艇で向かい、岬の上高校の女教師として潜入したらしい。
「あの先生、美人だよなー」
「龍也! 何よ、デレデレしちゃってさ!」
「フ……アイツはそういう奴さ……」
「でも、あれは綺麗な
どうやらガッダインチームの男達はミザーリンの変装した姿に釘付けになっているようだ。
「あら、皆さん。初めまして」
ミザーリンがニッコリと笑うと、男達が全員ひっくり返った。
どうやら地球人への変装は完璧に見破られていないようだ。
その後、彼女は職員室に入り込み、ガッダインチームのデータを収集してデラヤ・ヴァイデスに帰還した。
そしていつもの作戦会議が始まった。
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