第三話 巨大獣ガガビビ なぜだ! 合体不能 6

 そして番組後半の開始だ。

 このガッダイン5、コマーシャル前のアイキャッチと後半スタートのアイキャッチが結構カッコよかったんだよな。


 前半はダインマシンと各キャラのアップ、後半スタートはガッダイン5が決めポーズで後ろでは丸い稲妻が光る。


 しかし昔の人のテレビ番組の作り方って上手いよなとつくづく思う。

 三十分できちんとストーリーやシナリオが収まるようにつくっていたわけだから。

 それがクイズ番組でもドラマでもアニメでも全部三十分、それがほぼ毎日四本のゴールデンタイムは子供心にワクワクしたもんだ。


 むしろ歌番組とかの一時間半枠と野球中継に潰されるのが心底イヤだったな。


 それが今の時代はどこのテレビ局も二時間三時間の芸人やアイドルばかりが出てくるようなものばかり、三十分ドラマは姿を消し、アニメはゴールデンタイムから朝に島流しか深夜帯ばかり。キー局と地方ローカル局の中間とも言えるTOKYO12放送だけがかろうじて18時、19時台のアニメをやっているくらいだ。


 まあ転生した俺はアニメどころか地上のテレビも見られていないが。

 あのガガビビの乳首レーダーに使ったような高性能レーダーアンテナを使えばひょっとして地球のテレビが見れるかもしれない、今度やってみよう。


「ブキミーダ、何をボーっとしてるの!? 相変わらずグズね、早くわたくしのガガビビちゃんを出撃させなさい!」

「はっ、承知しました」


 ここは素直に上司に従っておくのが社会人。

 俺はミザーリンの指示に従い、巨大獣ガガビビを機動要塞ドグローンから出撃させ、自分達はグローン円盤に移動して様子を見る事になった。


 【ロボットシミュレーションゲームでは】何故かこの離れた場所にあるグローン円盤、数ターンで撤退したりするので通常は倒せない。

 だがたまに出現する廃人プレイヤーはそんなグローン円盤をブースターと加速スキルで追いかけて倒しにいくイカれたやつもいる。


 まあどう考えてもダインマシンのダインジェットやダインボンバーだけでこのグローン円盤は倒せないので今の俺達は高みの見物というわけだ。

 ミザーリンは巨大獣ガガビビの近くにグローン円盤でいるみたいだが、あんな場所にいたら攻撃を喰らっても知らないぞ。


 そう言えばさっきからマーヤちゃんが何だか不機嫌そうだ。

 どうやら俺がついついミザーリンの胸を見ていたのが気に入らないらしい。

 そりゃあ仕方ないだろ、性格は最悪でキツいが、彼女の胸は……男なら誰でも目線が行ってしまうレベルだって!


「ご主人様、どうかしましたか!」

「い、いや。マーヤちゃん、怒ってる?」

「ワタシは怒ってません!」


 ほら、やっぱり怒ってる。

 マーヤちゃんの機嫌を直すにはどうすればいいだろう。


 そんな事を考えている間に、ガガビビは池袋の街に降り立ち、辺りを壊し始めた。

 そのすぐ後に地球防衛軍の戦闘機が到着し、ガガビビにミサイル攻撃を仕掛けてきた。


 あーあ、無駄な事を……。


 巨大獣ガガビビは胸のレーダーから怪音波を発射し、ミサイルを全く別の方向に向かわせた。


「う、うわぁああっ!」


 誘導かく乱されたミサイルは、防衛隊のファントム戦闘機に直撃、流石浜野監督、モブに厳しい。


「馬鹿者! 何をやっておるっ!」


 この声は! 地球防衛隊の三島長官だ!


「馬鹿者! その機体はお前の命などよりよほど貴重なのだ、無駄に爆発するくらいなら体当たりで仕留めてこい! これは命令だっ!」


 え……!? ええええぇぇぇぇぇえっ!?


 ――三島守人みしまもりひと――


 三島長官と言えば、真の侍と言われるくらい部下を大切にする武人で、番組後半ではバルガル将軍と一騎打ちを申し込み自ら愛用の日本刀で戦うほどの高潔な人物だ。

 その彼が何故そんな隊員を使い捨てにするような発言を!?


 俺は傍受した通信から聞こえてきた三島長官の声が信じられなかった。

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