第二話 巨大獣ゲスラー 母の悲劇! 6

「おお、ブキミーダ殿、素晴らしいではないかっ! 長距離火炎砲なぞよりよほど強そうだ」

「ははっ。お褒めに預かり光栄です」


 バルガル将軍は、ドリルを両手に装備したゲスラーを見て感心していた。

 何というか……これ見てると魔改造プラモデル作ってるイメージだ。

 原作に無い武器を取り付けて原作のそのロボットのアイデンティティとも言える武器をとっぱずしてしまったわけだから。


「これで上空から攻めれば、ガッダインとてひとたまりもあるまい! よくやった、ブキミーダ殿。吾輩からもシャールケン様にお主の事を伝えておいてやろう」


 どうも調子が狂うな。

 原作ではブキミーダとバルガルは常に争う犬猿の仲、力押しとバカにするブキミーダと、卑怯者と罵るバルガルが毎回出てきて争っていた。

 だが今のバルガル将軍は素直に俺のやった事を認める上司か同僚のようなものだ。


 昔やっていたロボではないSFアニメ、宇宙軍艦ミカサの敵にいたバルドー准将が実はバルガル将軍のモチーフだというのは、スタッフ裏話に書いていた。

 まあ元のモチーフになった人物が日米大戦の時の米軍の猛将だというから似ているのも当然かと……。

 豪放磊落で部下を大事にする熱血漢の武人、そりゃあ部下にも慕われるわけだ。

 原作のブキミーダとは性格が合わんのも当然だといえる。


 そのバルガル将軍は上機嫌でドグローンに向かった。


「ブキミーダ殿、吾輩がガッダインを倒してくる。勝てたら吾輩からシャールケン様にお前の待遇をもう少し良くするよう伝えてやっても良いぞ」

「はっ、バルガル将軍。ご武運をお祈りしております」


 原作でもバルガル将軍は似たようなセリフは言っていたが、それに対しブキミーダは――あの脳筋ゴリラ、ワシをバカにしおって! すごすごと尻尾を丸めて逃げ帰ってこればいいじゃ!――と言っていた。


 まあこんなヤツには味方はおらんよな。

 しかし俺は原作のブキミーダとは違う。

 どうにか後四十二話生き延びる為には、味方を増やしておく必要があるのだ!


 ――そして、またコマーシャル明けの番組後半かなってくらいの時間になった。

 今頃地球ではバルガル将軍が横浜に到着した頃だろう。


 俺はドグローンに搭載しておいたグローン円盤の中にあり合わせの材料で作ったスパイカメラの小型ドローンを作り、密かに忍ばせておいた。


 これで戦闘の映像が見れる。


「ご主人様、これは何ですか?」

「ああ、マーヤ、これは今の地球の状態が見られるように俺が仕込んだドローンカメラだ」


 映像には暴れる巨大獣ゲスラーの姿が映っていた。


「ギャエエエーーンッ!」


 ゲスラーは翼を広げながら手のドリルで手当たり次第にビルを破壊していた。

 あーあ、横浜の町と船がメチャクチャだ。

 流石は皆殺しの浜野、モブに厳しい。

 そして暴れるゲスラーの前にダインマシンが姿を現した。


「来たか! 何だアレは? 雑魚の蚊トンボとガラクタしかいないでは無いか! ガッダインはどうした! 姿を見せろ!」


 そうか、まだバルガル将軍はあのダインマシンが合体してガッダイン5になるとは知らないんだな。

 だがあのドローンカメラには音声を伝えるシステムは搭載していないので、こちらからはそれをバルガル将軍に伝える方法がない。


「どうした! ガッダイン! このままでは貴様らの街がどんどん焼け落ちるぞっ」

「くそっ! 宇宙人共めっ!」

「だめだわっ。脳波が一致しないっ、このままではダインマシンを合体させることがっ」


 どうやらガッダインチームはみどりさんが死んでいないので、怒りで合体した本来の二話と違い、ダインマシンを一つにする為の脳波の一致が出来ないらしい。


「龍也、心を一つにしてーっ! このままでは合体出来ないわっ」


 なるほど、第一話第二話は浜野演出で怒りや激しい感情を使いガッダイン5に合体させる形だったので、どうやら赤井龍也の脳波が他のガッダインチームのみんなと一致しないらしい。

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