人材

「清水さん、ご飯連れてってよ。」

「……神童、ヒントを出し過ぎだ。」

「だって、お腹すいたんだもん。早く切り上げたくって。」

 元居た部屋に戻った神童と志葉。清水はマジックミラーから視線を外さない。

「どうだった?」

「んー、未熟ですね。まだまだです。警察官が主人公じゃない系のドラマでよくいるタイプ。あの、警察だからって権力を振りかざす、あぁゆう嫌なタイプのやつ。あぁ、でもあの竹島って子は見込みがあるかも。目の付け所は悪くない。でも、少し人の感情に敏感で影響を受けやすい。だから、組むメンバーさえ考えれば将来化けるでしょうね...。」

「そうか。それで?お前の手足(探偵助手)に成り得る人材はいたか?」

 清水がここで初めて神童に視線を向けた。一方、神童はミラー越しに彼らを見つめながら口を開いた。

「そうですね。竹島君は懐けば僕のために頑張ってくれるでしょうね。きっと自分の命を投げ打ってでも僕の命令を完遂する。………だから、いらない。今回は無しで。やっぱり僕の手網を握るのは、志葉にしか無理ですよ。」

「そうか、分かった。もう行っていいぞ。」

「えぇ?!ご飯は??」

「今から上層部との会議だ。終わる時間は分からんが、その後でいいなら。なんなら、お前も会議に出るか?」

「嫌です!!志葉、行くぞ。仕方ないから、今日は僕が腕によりをかけて旨い飯を作ってやろう。ほら、行くぞ。早く!!」

 神童は逃げるように、志葉を引き摺り部屋を後にした。

 清水は、その後ろ姿を見つめながら、「警察官を諦めるのは、ここで潰れて腐るには早すぎるんじゃないか? 神童...」と呟いた。

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