異世界で魔王を倒しステータスそのままで日本に帰還したら、魔術師として現実世界で魔物と戦うことになりました。
さい
第1話 帰還したその日
「……よし、帰ってきたあああ!!」
俺こと静波銀次は玄関にて、あまりの嬉しさにガッツポーズを決めて叫んだ。
「やっとだあ、やっと現実世界に戻って来れたんだあああ!!」
あれは今から3年前のことだ。
学校から帰り、玄関を開けたと同時に目の前が真っ白に光だし、異世界に転移してしまった。
目の前には五人のローブを付けた召喚師。
景色は王宮。
そう、俺は勇者として異世界召喚されてしまったわけだ。
目的は一つ、世界を滅ぼしかけている魔王を討伐すること。
魔王討伐で俺は元の世界に戻れるという。
さらに、一つ、なんでも願いを叶えてくれるそうだ。
まあ、色々とあったがこの通り現実世界に戻って来れたということは魔王を討伐できたのだ。
そして、俺が言った願いは、
"元の世界でもステータスをそのままにしてください"
本当になってるんだろうな?
俺は右手で指パッチンをしてみることにした。
「いくぜ!! 【
すると、ボワっと指先に小さな炎が出現した。
「うおおお!!」
本当だ。
俺はこの世界でも魔法が使えるようだ。
てことは、この世界にも魔力という概念があるというわけか。
「あとは筋力か……」
目に入ったのは30キロだった。
身体を鍛えるために買い、三日で使うのをやめてしまった物だ。
「持ってみるか」
俺は持ち手に右手人差し指を引っ掛けてみると、
「よしッ」
なんと、人差し指だけで30キロダンベルを持ち上げることに成功してしまったのだ!!
「ステータスそのままじゃねえか!!」
この日、俺は異世界から現実世界に帰ってきたわけだが、なんと異世界で手に入れたステータスがそのままで帰ってくることに成功するのであった。
あとはだ……。
スマホをポケットから取り出して、
「懐い、懐かしすぎる!!」
カレンダーアプリで今の時間を確認してみることにした。
2024年5月18日17時25分──
時間もそのままだ!!
多分、俺が召喚されたタイミングの時間だ!!
「よおし、久しぶりに街の散歩でもするとしますかあ」
こうして、俺は荷物を置いて、スマホ片手に外を歩くことにした。
本当……いろんなことがあったなあ。
この俺が魔王を討伐か。
夢みてえだ。
ひとまずは、俺が魔法を使えることは誰にもバレないようにしないとな。
変に注目を浴びるようになりたくないし。
途中、コンビニへ行き、俺の大好きなメロンパンを買うことにした。
これこれ、異世界にはなかったから実質3年ぶりのメロンパン!!
いっただっきまーす!!
思いっきりかぶりついた。
「うっ、うめえ〜!!」
ほっぺがとろけてしまいそうだ。
やっべ、ニヤニヤしちまう。
袋を捨て食べながら、歩いているその時だった。
ん……?
最後の一口を食べ終えると、俺は周囲を見渡す。
なんだ、この魔力を感じるような感覚は……?
まさか、この世界に魔力を持つ者でもいるのか?
魔力の概念があるんだ、当たり前と言えば当たり前か……?
俺は魔力を感じる方向へと走り出した。
たとえ、魔力を持つ者がいたとしても、この俺の実力なら負けることはないだろう。
怖いものなんてない。
あの魔王を倒したんだし!!
薄暗い路地裏へと入っていく。
ジメジメしており、気味が悪い。
まず、好き好んで人が入ることはないだろう。
「な……ッ!!」
俺が目にしたのはゴミ箱の中を漁る一メートルほどの巨大なネズミだった。
このネズミから魔力を感じる。
つまり、こいつは……
「魔物ってことか……?」
俺は知った。
現実世界に魔物が潜んでいるということを。
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