自白を強要してくるおじいちゃんに脅される著者
明鏡止水
第1話 御老体こえええ!!!!!
とある利用者様のメガネケースが見つけられなくて就寝介助の際、どうしようかなー、と思ったんです。
その方の周りにはただでさえものが溢れて下手に触ろうならクレームになりかねない状態。
就寝前の点眼薬も拒否。
就寝薬も「何だその薬は」。
「下手なもの飲まされたら困る」。
「だから、飲まないって!!」
拒否。めっちゃ拒否。
なにかあれば手持ちのガラケーで家族にすぐ連絡を取られてしまいます……。
おまけにご飯直前に自分の好きな服に着替えたりします。
まあ、あるあるなのかもしれません。
元から身だしなみにこだわる人いるしな。
その方、メガネをしてらっしゃるのですが、ベッドの上はアドレス帳、脱いだ靴下がいくつか散乱。ティッシュ箱、膝掛け。
まあ、人のことは言えないけど。なかなかの荒れようではないですか。
本人にメガネケースはありますか? と聞いてもあん? って感じ。
寝ている時に寝返りで歪んだら困るな、と預かって枕のそばに置いたのです。
近くのタンスじゃぜったい探して危ない。妥協案です。
そしたらその方、一応メガネケースは持っていたのですが使用せず、メガネはかけたまま寝るようです。
さいですか。
まあ、穏便に、穏便に。
したら、なにがどうなったんだか。
私が大勢の前でその人の私物を踏んづけたのだ、みたいな話がその利用者様の中では出来上がっていて。
関わりすぎると碌なことねーな、介護って。
と虚無を抱きました。一部の方ですけどね。
認知症の軽い人は気さくにはなしてくださる。
わかってる、わかってるけどなあ。
そんなわけで朝食から夜勤明けの朝9時ごろのポータブルトイレの掃除まで、その利用者さんがじっとり付き纏ってきて。
脅してくるわけですよ。
あんたか? あんただろう。おれのもん、ふみつけたのは。みんなが見てんだからな。俺のモン、踏みつけたのは。おい、何とか言ったらどうなんだ、ハンっ、何も分かりませんって顔ですっとぼけやがって……、ひとこと私が悪いんですですって、いってみろよ
じっとりじっとりいや〜な感じです責め立ててくる利用者さん。
そのあと他の介護職員さんが仲介に入ってくれてどうやら妄言なのか妄想なのか。誤解が解けたあと、その利用者さんは晴れやかな顔で、
「おお! 勘違いしてた! オタクじゃなかったな、どーも!」
なに、笑っとんじゃー!
いるよね! 必要以上にくどくど言っといて自分の気分が晴れたら謝罪もなしに自分だけスッキリ解決して他人の尊厳も気持ちもズタズタにする奴!
しかたねー、とは言わせねえぞ!!
しかし、夜間のストレスから他の利用者さんにもキツイ言葉を使っていた私も私。巡り巡って因果応報か、と。
「いやー、びっくりしました! なんか解決して良かったですー!」なんて話を合わせましたよ。
違うケアワーカーというか、職員が間に入るだけでなんと鮮やかに解決するものか。
一度ロックオンされるとねちねちされますからね、人によって。
八十、九十いってる人にロックオンされると。
老害とはまた違った絡み方されて困惑と迷惑と苛立ちを覚えた著者でした。
とりあえず無事帰れて良かった良かった。
……よくねーけどな。やっぱりストレス溜まってんだわ。
やってもいないことの犯人扱いとか何事だよ。
自白を強要してくるおじいちゃんに脅される著者 明鏡止水 @miuraharuma30
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