帰ってきた王弟 俺の前世は魔王の弟!

起き抜けパンダ

魂の再会

雨宮 翔(あまみや かける)

それが俺の名前だ。18歳の高校生、

趣味は…これといって無いが時間が

あれば読書位はする。まぁ電子書籍だが。(本は場所を取るので)

そして、何故か子供の頃から不思議な夢を見る。まぁそれは今は良い。

さて、俺が何故、こんな自己紹介のような事を頭の中でしているのかといえば…

『聴いてるんですか!?ご主人様!』

この目の前の喋る雌馬、ローズという

非現実的状況からの単なる現実逃避

である。ついでに現在地は何故か草原だ。

「あ~聴いてる、聴いてる。まぁアレだ色々言いたい事も聞きたい事もあるんだが、とりあえず…」

俺は周りを見回し一言

「ここ、何処?」

一番始めに浮かんだ疑問を口にする。

そもそも俺は、頭の中に浮かべた通り何処にでも居る高校生だ。

よく周りの奴らは俺の事を、

『つまんねぇ奴』とか『何しに学校来てんだ?』と言っていた。正直、呆れる。

だってそうだろう?学校とは何だ?と

聞かれれば十人が十人とも同じ様な答えを返すだろう?周りに合わせ、こう答える。[勉強をする場所]と。

そう答えるクセに学校に、クラスメイトに

学校行事に、人によっては教師にまで、

〈楽しさ〉を求める。別にそれが悪いとは言わないし、思わない。ただ押し付けるな

とは感じる。

ん?何故こんな事を考えてるんだっけ?

あ~思い出した!つまり、

俺はどこをどう見ても一般人という事だ。間違っても喋る雌馬と一緒に草原に来てしまう狩人でも、ましてや野生に帰った訳でもない。すると、ローズが誇らしげに一言『ここは、【ダイナ草原】です!』

そう言った。いや、地名を聞きたい訳ではない。質問をやり直すか。

「すまん。俺が悪かった。空に紫の太陽がある、この世界は何処だ?」

地球ではないのは見れば分かる裸眼で紫に見える太陽なんて地球であってたまるか!

そして今更だが、このローズ、名前からも想像出来るかもしれんが信じられん事に、色が普通ではない。全身薄桃色なのである。要はピンクだ。

コイツも地球産れではない。と、なれば、だ。ここは…

『ああ!そういう事ですか!世界の名は

ネフィルムです。どうです?』

やはり異世界か。ローズを信じるならば、だが。ただなぁ…コイツ通学中の俺を

見つけるなり開口一番

『やっと…やっと見つけましたよ!ご主人様〜!』

って言って突っ込んできたと思ったら

草原…【ダイナ草原】だったか、

に居たんだよなぁ〜それに何故か俺は

コイツの事を地球で出会う前から知ってる気がするんだよな。どこだ?

展開的には転移、だよな?え?

俺、もしかして馬に轢かれて死んだ?

もしそうなら嫌すぎる…ん?

何だ?何か引っかかる…何に…死んだ?

いや俺は生きてる。正確には雨宮 翔は

生きてる。待て、いや本当待て。落ち着け俺!何かの間違いだ!そうだろ?

この引っかかる事が、死を俺が経験しているなんて事があるハズが…

俺は雨宮 翔として産まれるより前に

ローズと出会い、そして…死んだなんて…

「なぁ」

ふと、頭の中に名前が浮かんだ。

『はい!何ですか!ご主人様?』

「自分でもまだよく分かってないんだが…ひとつ確認させてくれ。お前の知り合いに

《ガイノス》って名前の奴いるか?

いるならソイツは今どうしてる?」

分かってる…頭の中に浮かんだ名前の奴が都合良く居るわけわけないし、居たとして顔も知らない赤の他人だ。何故気に掛ける必要がある?そう思いローズの顔を見ると

ローズは…泣いていた。え!?

「ちょ!?え!?何か聞いちゃマズかった?!」

『いえ。当然の質問です。お答えします。』

「いやいや当然じゃないから。頭の中に

浮かんだ名前の奴の安否確認なんて異常だから!」

『いいえ!今のご主人様の状態は正常です

ご主人様は今、無意識に現世と前世の魂の記憶を統合しているのです!私がご主人様を見つける事が出来たのも様々な世界の様々な魂の色を見分け続けて辿り着いたのですから!』

息が止まりそうになる。今、コイツは

確かに〘前世〙とそう言った。

そして辿り着いたとも。つまり俺は、

「俺は一度、死んだのか?お前達を…

兄さんを置いて?…!?」

何を言ってるんだ俺は?俺は一人っ子だ!兄さんなんていない!…ハズなのに。

『ご主人様?自分に嘘はつけませんよ?魂ならば尚更です。』

ローズが泣きながら微笑んだ様に見えた。疲れてるな…俺。馬が微笑む訳ねぇだろ。視界が歪んでいる。ああ、駄目だ。

頭で考える事じゃないな。

もう心が認めてる。

いくら、あり得ないと声にしても、

非常識だと目を瞑っても、俺の心は魂は、目の前の馬を思い出してきているし、

同時に、いつも不機嫌そうな顔して周りに気を使っていたガイノスを思い出していた。


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