第47話 Image change
久々、というほどでもないが、何せ休みの間に色々ありすぎて、学校から離れていた期間が長く感じられた。
童貞ではなくなったからと言って、優越感を得られたとは全く思えなかった。
もっとマイと色々したいと言う気持ちはある。でも、そればっかりじゃあ、だめな気がするから、可能な範囲で日常を取り戻さなければいけない気がした。
学校に到着し、静かに廊下を歩く。特に挨拶する相手もいないから、何事もなく教室に到着。自席に荷物を置くと、何かざわついているようだった。でも、俺には、多分関係のない話だと思っていた。大体うわさ話の類も正直好きではない。
そうして何事もなく、昼休みになった。崇太と出会ったので、2人で過ごすことになった。
「何か、変わったことあったか?」
崇太の問いに、
「別に何もないけど。」
本当はあったけど、別に言う必要もない。聞かれても黙っていようと思っていた。が、今朝の教室のざわつきが少しだけ気になっていたので、そのことを言うと、
「ああ、俺のクラスも何か、ざわついてたよ。」
自クラスだけじゃないとなると、そこそこ大ごとじゃないかと思えてきた。
「お前、何か知ってる?」
俺が聞くと、
「他のやつに聞いたら、凄く可愛い女子が現れたって話らしい。」
「ふーん、大した事ない話だな。」
俺が答えると、
「まあ、お前彼女いるしな、マイちゃんだっけ。」
そう返してきたから、
「まあ、そんなところかなあ。」
照れ隠しで、そんな言い方になってしまう。惚気話はあまりしたくないから、適当に流していた。
美少女出現とかなら、今の俺にはどうでもいい、正直関係がないと思った。
「そういや、お前彼女見つけたいとか言ってたじゃん。何かしてるの?」
「いや、全くやっぱり面倒くさくなっちゃって。」
崇太はこの辺がマイペースだと思った。
「ま、手伝いはできないけど、応援はするよ。」
「ああ、ありがと、いい話があればするよ。」
何か前にも、こんな会話をしたような気がした。進歩がないじゃないか、良くないと少しだけ思った。
そんな時だった。
「あっ、はーくんがいる。」
今の俺に取って一番聞きたかった声がした。振り返った。顔はマイだが、明らかに様子が違った。制服も普通に着ている。それを見て、大きなリアクションをしたのが崇太だった。
「え、安西、さん?」
おどろくのも無理はない。何故なら俺も驚いていたからだ。
「あれ、マイちゃん?どうしたの?」
俺が尋ねると、
「ああ、学校ではギャルやめたー。」
慣れつつあったものが変わったら、さすがに無反応ではいられない。でも、ギャルでなくなった彼女は、ただの美少女でしかない。正直アリだ。口には出さないけど。
「何でやめたの?」
一応俺が尋ねる。
「もう、踏ん張る必要ないかなって。」
まあ、後で詳しく聞くとして、ふと俺は、周囲を見渡す。少しざわついていた。ほぼ、今朝の騒ぎの原因が分かった。
「あ、もう授業いかなきゃ、じゃあね。」
彼女は手を振りながら笑顔で去っていった。
「うわー、まさかのイメチェンだよ。ざわつくのも分かるかも。」
「可愛さとかより、ギャルでなくなったことの驚きなんだろうな、きっと。」
「しかも可愛いんだから、そりゃざわつくよ。」
などと会話をして、崇太は真顔で聞いてきた。
「安西はお前の彼女なんだよな。」
否定する意味はないと思い、無言で頷いた。
「お前も頑張れ、俺はもっと頑張るよ、じゃあな。」
崇太は自分の教室へと帰っていった。
俺は無関係だと思っていた騒ぎの、全くの関係者だったと分かったことが、一番の驚きであった。そして、ささやかに崇太に春が来ることを願うのだった。
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