第30話 At the supermarket

それから、俺とマイは帰りに会って、学校から駅まで歩くだけの日々が続いていた。というのも、彼女のバイト先のスーパーがやや人手不足気味なためシフトに多くはいらなくてはいけないのだそうだ。

彼女はsnsでよく、さみしいとか会いたいとか、メッセージを送ってきた。そのために俺もさみしい、会いたいって返事をしている。 確かに以前の俺とは違う。こんなに人のことを思うことができるとも思わなかったし、会えないことがこんなにも辛いのかとも今までは思わなかった。

ある日部屋で俺がボーッとしていると、母に呼ばれた。

「欲しいものが隣町のスーパーにしかないみたい。買ってきて。」

何で隣町なんだろうか?聞けば地元では売り切れてて、店員が隣町にあるかもと言ったらしく。暇そうにしていた俺に白羽の矢が立ったらしい。

仕方がないので在宅時用のスウェットから外出出来そうな服に着替えて、俺は出かけた。自転車にまたがると俺は走り出した。場所は、詳しくは聞かなかったが、大通り沿いにあるから、分かるはずだと母は言っていた。

途中何度か信号で止まり、いつしか俺の漕ぐ自転車は、隣町へと入っていた。確かにマイが住んでいる町だったはず。住んでいるところはまだ聞いてなかったけど。

もう少し走ったら、大きめの建物が見えてきた。夕方のスーパーは中々賑わっているようだった。

空いている駐輪スペースに乗ってきた自転車を置いて、鍵をかけてから、俺は店内へと入った。店内もやはり賑やかで、ポケットのメモを取り出し、買うものが何だったかを確かめる。が、メモをみても、ありそうな場所は、慣れてない店内だからか、全く分からなかった。こうなったら、お店の人に聞くのが早いと思い、そこにいた女性店員にこえを掛けた。

店員が振り向いた。その顔は余りにも見覚えのありすぎるものだった。

「え、はーくん?何で?」

店員はマイだった。

「やったー、ハーくんに会えた。嬉しい。もう運命だね。」

俺も嬉しかったが、

「待て、仕事中だろ。」

「はっ、そうだった。」

気を取り直して、母親に頼まれた品物の場所を聞く。

「ああ、それならこっち。着いてきて。」

スタスタと、歩く彼女を追い、少し離れた棚へ。棚から商品を、彼女が手に取った。

「これだね。」

俺はメモと照らし合わせ、

「ああ、これだな。間違いない。」

目当ての品だとはっきりした。

「ありがとう。慣れない店だから、助かったよ。」

「大丈夫だよ、これがアタシの仕事だから。」

レジへ行き、会計を済ませるべくマイに礼を言おうとすると、

「もうすぐ終わるから、入り口で待ってて。」

それならと、俺とマイは裏側の入り口近くで待ち合わせすることにした。

会計を済ませ、俺は外に出て自転車の鍵を外すと、手で押しながら、スーパー裏の通用口まで歩く。入り口で止まって待っていると、制服姿のマイが出てきた。

「はーくん自転車で来たんだ。」

「直接行ったほうが近そうだったからさ。」

「アタシは最近自転車乗ってないなー。」 

「前は乗ってたんだ。」

「バイト先は歩いてすぐだし、学校は遠いからね。」

何となく歩き出した。で、マイが言う。

「良かったら家の前まで一緒に来てくれる?」

家までどうやって帰ろうかなと思って、考えていたら、

「アタシのうちすぐそこだし。後でスーパーまでの道教えるよ。」

それならということで、俺はマイの家の前まで一緒に、歩くことにした。



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