悪魔

勤勉な男がいた。

毎日決まって早起きをし、会社に行き、8時間の勤務に加えて、1.2時間の残業も行い仕事をきちっと終わらせてから帰る。

新卒で入社してから10年今まで有給などとったことなどない。仕事一筋の男であった。

寝る前に決まって読書をするそんなある時、男の枕元に悪魔のような姿をしたものが現れた。

「お、お前はなんだ。俺は悪魔など呼んじゃいない。」

「そんな邪険にするなよ。お前にとっては願ってもない話だと思うぜ。」

「ど、どういうことだ…」

「毎日毎日、判を押したような生活をしてつまらなくないのか?俺はお前の願いをなんだって叶えてやれる。お前の今までの頑張りに対するご褒美ってやつだ」

男は全く信じていなかったが、不思議なこの状況にもしかしてという思いもあった。

「じゃあ、大金持ちにしてくれよ。」

「お安い御用だ。」

悪魔がそういうと男の目の前に札束の山が目の前に一瞬にして現れた。

それから1年間、男は仕事などすぐに辞め悪魔に家、高級車、女、などあらゆるものをお願いした。

男は悪魔に言った。

「あなたは本当に神様だ。ありとあらゆるものを叶えてくれる。もう一生働かなくて良いし何もしなくても一生遊んで暮らせる。」

「そろそろいいか。」

悪魔がそう言うと男に与えたあらゆる願いを消滅させ、男の前から姿を消した。

「あんな贅沢を味わってしまった後だ。あの男はもう2度と以前のように勤勉に働くことはできないだろう。俺の趣味は真面目な人間をああやって壊すことさ。なんたって悪魔だからな。」

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