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いぬわんこ

「また負けちまった。今月はどうやってしのごう。」

男は誤って持ち帰ってしまった銀玉をこねくり回しながら歩いていると、男の背丈の半分くらいの子供たちが不思議な話をしているのが聞こえてきた。

「なぁ知ってる?」

「何がだよ」

「猿を完全に破壊する実験さ」

「何それどんな実験?」

「猿の前に押すと餌が出るボタンをセットするんだよ。初めのうちはボタンを押したら餌をちゃんと出すんだけど、途中からボタンを押しても餌を出したり出さなかったりするわけ。最終的には別の方法で餌を探したほうがいいんじゃないかっていうくらいボタンを押しても餌が出る確率を低くする。でも不思議なことに猿はそのボタンを狂ったように押し続けてその場から離れなくなるっていう実験」

「なんだそりゃ。猿っていうのは馬鹿なんだな。人間とは大違いだわ。人間ならすぐ気づいて他の方法を探すもんな」

思わず聞き入っていた男はハッとした顔になり、最寄りの紳士服店へ向かった。

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