エネルギッシュ家族
羽弦トリス
第1話始まりの朝
「あなた、起きて!起きて」
と、旦那をベッドから起こそうとするのは、宮田さおり。
「なんだよ!」
と、しぶしぶ起きるのは、宮田良二、宮田家の大黒柱だ。
「どうした?」
「電気がつかないの」
「ブレーカーじゃねえのか?」
と、良二はブレーカーを見たが落ちていない。
「なんでまた」
テレビもつかない。
マンションの管理部に電話を掛けようとしたが、スマホは真っ暗。
反応しない。
「皆んな、起きろ!」
と、息子の祐介と美香を起こした。
「何だよ?オヤジ」
「電気が使えない。ガスもだ。お前らのスマホはどうだ?」
と、高校三年生の祐介は、
「あっ、消えてる」
2歳下の美香は、
「私のも」
「とりあえず、食パン食べて学校行きなさい」
「えぇ〜、焼いてないパン?」
「しょうがないだろ。祐介」
外に出た。
すると、マンションの住民は非常階段で昇り降りしていた。
さおりは、車に乗りエンジンを掛けたが、エンジンが掛からない。
「一体、何が起きたのよ」
祐介と美香は、自転車で学校に向かった。
良二は、駅で電車を待った。
すると、メガホンを持った駅員が、
「本日は、電気不通のため、電車は動きません」
客は全員、徒歩や自転車で帰宅した。
良二が帰宅すると、家族は既に待っていた。
「お前ら、学校は?」
「臨時休校だよ」
「この状態がいつまで続くか分からんから、地震対策の非常食品で乗り切るぞ!」
「あなた、一体何が起きたのよ」
「それは、オレにも分からん。だがな、皆んな、オレについてこい。オレがこの家族を守る」
テレビもラジオも作動しない。
良二はタバコを取り出し、ライターで火を付けようとした。
しかし、ライターから炎は出なかった。
チッ!
と、良二は言ってライターを投げた。
時計も止まったまま。
その晩は、缶詰めと乾パン、水で過ごした。
水が圧倒的足りない。
家族会議を開いた。
「田舎の、オヤジの所へ行こう。あそこなら、井戸水がある」
「おじいちゃんちまで、何で移動するの?」
「美香、自転車だよ。3日間漕ぎ続ければ着く」
「あなた、ここで正常になるまで待ちましょうよ」
「そうだよ。父さん。オレはここを動かない」
「何だ、お前ら。ペットボトルの水は後5本しか無いんだぞ!」
「あなた、3日間だけ待ちましょうよ」
そう言って、辺りが暗くなると、皆んな寝室へ。
今日の出来事は夢でありますようにと、思いながら眠った。
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