【問題】 マキナ選手は、グランドスラムの偉業を易々と達成した。一部の人間は喜んだが、彼女はトロフィーを海に捨てた。なぜか？

解答

【解答概要】

マキナは軍事用ロボットである。最後の実証実験であるグランドスラム達成によって能力が証明され、実戦投入された。開発者たちは富を得たが、共に大会に出た仲間や機械の妹たちは亡くなった。後悔と弔いの念を胸に、戦争で火の海となったかつての会場にマキナはトロフィーを投げ捨てるのだった。

【解答詳細：デウス・エクス・マキナの慟哭】

『マキナ』は軍事用ロボットの試作品だ。2×××年、実用テストとして挑んだグランドスラムへの挑戦は大成功。人間の選手は手も足も出なかった。並べられたトロフィーは、軍事ロボット産業の開発を進めるに有り余る成果となった。

かくして数年後、第n次世界大戦が起こった。『マキナ』たちの戦力は圧倒的であり、開発者たちは多額の富を得た。

かつてトロフィーを誇らしげに掲げた銀色の手は、数多の血で赤く染まっていく。歓声の記憶をかき消すように、妹ロボットたちの壊れゆく悲鳴が響く。

気づけば目の前には、火と血の海が広がっていた。死体も廃棄物も灰と化してゆく。涙を流す機能を持たないロボットは、懺悔と弔いの念を胸に、ただ無表情にトロフィーを投げ捨てた。