今後の展開ダイジェスト

沙樹の意識は戻るが、富吉は沙樹の母親から、彼女の後がもうないこと、それでも彼女が登校を選択し、母親の反対を振り切って富吉の誘いに乗ったのだということをきかされていた。


「わたし、最期に貴方に会えて、少しは幸せ感じて死ねるよ。死ぬのは、やっぱり怖いけど。【わたし】をちゃんと見てくれる人がいてくれたから。病気ってゆーフィルムを通してじゃなくて、わたし自身を見てくれたから」


 ベッドの傍らの椅子に座る富吉に、儚げに話しかける沙樹。その表情は、富吉がこれまで見た中で一番良い笑顔だった。


 次の日の朝、日が昇ったと同時に沙樹は息を引き取る。沙樹の死に、久しぶりに優しい涙が流せた富吉。命の儚さを知ると同時に、生きてさえいればまだやり直せることも彼は悟る。富吉が覚えたのは絶望ではなく、未来に向かって前向きに進んでいくための希望だった。


「俺、もっかいしゃんと、胸張って生きてみようと思う」


 そうして富吉は心の中で沙樹に感謝の意を唱え、彼女の最期の笑顔を胸に、これからも生きていく決意をするのだった。自分が前を向いて生きている限り、沙樹も自分の中に生きているような気がして。

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