第4話 それじゃあ、3人も簡単に自己紹介してもらえるかしら

「それじゃあ、3人も簡単に自己紹介してもらえるかしら」


 女教官が女子生徒たちに自己紹介を促す。


「はいは~い!、私の名前は『綿梨わたなしあゆ』っす」


 まず、女子生徒Aが名乗った。紺色の短めの髪でスポーティな感じがする元気な女だ。


「能力は『透視』っす。索敵とかマッピングが担当っす。壁の後ろにいる敵が見えちゃったりします。ちなみに女子の下着の色もわかるっすよ」


 下着の色だと!!!それは素晴らしい能力だ。


「それは言わなくていいから」


 女子生徒Cが怪訝そうに言った。


「いや、面白い能力だと思うぞ」


「タカシさん、興味あるっすか?」


「まあな」


「じゃあ特別に教えるっす。今日の先生の下着は黒のレース、スケスケっすよ」


「なんだと!!!」


「ちょっ!?あなた何を言っているの!?」


 突然、自分の下着の色や種類を晒されて困惑する女教官。


「大人の女らしくていいじゃないか。俺は好きだぞ」


「いや、当たってないから。当たってないから…あなたも変なこと言わないでちょうだい」


 なぜか俺がチョップされた。



 ・・・



「次は私~、『雪之園聖羅ゆきのその せいら』です」


 女子生徒Bの自己紹介が始まった。肩にかかる長さの銀髪でおっとりした感じの女だ。


「能力は『拘束』。敵の動きを封じる鎖を出すことができます」


 ほう、クリエイション系の能力か。


「特技は、おひるねです。甘いお菓子が大好きです。よろしくね~タカシくん。ヘンリエッタちゃん」


「おお、よろしく頼む」


「よろしく!、お姉ちゃん」


「わあっ♪ お姉ちゃんって呼ばれちゃった。うれしいな」


「お近づきのしるしに、飴をあげるね」


 ヘンリエッタがどこからともなく飴を取り出した。


「やったあ♡ ありがとう。私もこれあげる♪」


 雪之園も棒状のチョコのお菓子を取り出した。


「授業中のお菓子交換は禁止だっていつも言ってるでしょ!」


「わーおこられたー」


 随分ゆるいクラスなんだなあ。



 ・・・



「最後は私、『マリー桜内さくらうち』よ」


 女子生徒C、桃色の長い髪に似合わない凛とした表情の女だ。たぶんこいつはツンデレ系だろう。


 しかし、紺色に銀色に桃色か。いつから日本人の髪の色はこんなに多様になったんだろう。


「私の能力は『銃撃』。銃を作って弾丸を射出することができるわ。もちろん攻撃担当よ」


 攻撃系のクリエイション能力か。銃撃するだけなら少々地味ではあるが、このクラスでは貴重な攻撃担当なのだろう。


「一度に大量の銃を作って遠隔操作したり、一斉射撃もできるわ。すごいでしょ」


 なるほど、この女がSクラスにいるのは、それが理由なのか。だがこの程度の攻撃能力は1000年前ならゴロゴロいたな。


「フッ」


「なにがおかしいの?ていうかあんたの能力はなんなのよ」


「俺か?俺の能力は、『時空を統べる』ことだ」


「なにそれ、意味わかんない。まあ大した能力じゃないんだろうけど。私が攻撃している間は邪魔だから、すみっこにでも隠れてなさいよね」


「楽ができるならそれに越したことはないな」



 ・・・



「それじゃあ、全員自己紹介は終わったわね」


「先生の名前を聞いていないが」


「そうだったかしら、私は『泉島さえ子いずみしま さえこ』、S級ハンターよ」


 教官は黒い髪を一つに結んだ、生真面目そうな女だ。大人っぽく見えるが、歳はかなり若そうだ。十代後半でもおかしくない。


「さえ子先生は、彼氏いない歴=年齢の独身、絶賛彼氏募集中っす」


「こらっ、余計な事言わなくていいの!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る