派遣魔王リーダの奮闘記~派遣魔王は覇権魔王だ~
@wisteria28
第1話 四天王が勇者を攻撃し、責任を取らされる。
「いや、たしかに勇者を倒せとは言ったよ」
ここは、異世界ファンタジーの世界の魔王城。
派遣魔王リーダは、正規魔王ラスボースに詰められていた。
「でもさぁ、まだ受精卵の段階を襲おうなんて誰が想像したよ。たしかに一番無防備だよ?でもそこまで人として、じゃなかった、魔王として道を踏み外してないよ」
リーダは冷や汗をダラダラ流す。
かれこれ、九時間も部下の失敗を詰められていた。
「あのさぁ、一応言っておくと、勇者を殺すことが吾輩達の目的じゃないの。勇者との戦いで、種族を殺させ合って、この世界の種族の均衡を保つのが目的なの。人類を滅ぼすのは簡単だけど、適度に個体数を維持するのは大変なの。分かる?」
「……はい。おっしゃるとおりです。」
「君の部下の、クイック君だっけ。こんな基本的なこともわからないの?何、やっぱり魔王養成学校卒業してないから?」
「いえ、そういうわけでは。」
「あのさぁ、ことの重大さ分かってる?あれだよ。いま天界が大慌てで別の勇者誕生をお膳立てしているところなんだよ。どうすんの。君責任取れんの?」
「いえ。もう今後二度とないように」
「当たり前だ!」
ラスボースは机を強く叩きすぎたせいで、人骨でできた机が崩壊する。
「まったく、これだから派遣魔王は困るんだよ。うちはたしかに劣勢だよ?でも、掟はしっかり守っているよ。掟を破れば効率がいいのは当たり前なんだよ。そんなのスライムでもできるの。掟があるから吾輩達が苦労しているの。分かる?」
「すみませんでした。」
リーダは深々と頭を下げる。
ラスボースは炎を拭き、リーダの赤い髪先を焦がす。
「このことは、派遣魔王協会に報告しておくから。せいぜい給料を減らされるんだね。」
「そ、そんな。ラスボース様、お願いです。もう一度チャンスを」
「派遣魔王に二度目はない。知っているでしょ。悔しかったら正規魔王にでもなれば。まぁ君じゃ無理だろうけど。」
ラスボースは悪魔のような嘲笑を浮かべ、かくして、派遣魔王契約は打ち切りとなった。
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