朝起きたら、裸で寝ている妹と幼馴染と元カノがいた~誰が嫁になるかで修羅場と化しました~

髙橋リン

第1話 どうして裸で寝てるんだよ

 今日は休日だからラノベを買いに本屋へ行こう。新作のラノベを買って、家に帰ったら早速読むんだ。俺もライトノベル作家を目指しているから、書籍化作家の作品を読んで勉強をする。


 アニメ化をしているプロの専業作家が言っていた。


『たくさんの作品を読んで、若いうちからたくさん作品を書いてください。デビューは若ければ若いほど、有利ですから。年を重ねると、アイデアや体力が劣ってしまいますからね』


 高校二年生の童貞で鋭い目つきをしている俺――白鷺しらさぎ大輝だいきは、今日の一日のスケジュールを決めてベッドから起き上がると同時に目を開ける。


――俺は夢を見ているのだろうか?


 そう思うのは、なぜか俺のベッドに見覚えのある顔の人物たちが……どうしてなのか全く理解できないが、裸で寝ているからだ。


 艶のある黒髪のロングヘア―で目の下にほくろがある妹――白鷺しらさぎ優芽ゆめ


 幼稚園の頃からの付き合いで赤髪のショートカットの幼馴染――佐伯さえき早紀さき


 白髪のショートカットでつぶらな瞳、端正な顔立ちをしている……高校一年生の時に半年間付き合っていた元カノ――小鳥遊たかなし咲茉えま


 俺はそんな彼女たちを見つめると……目をこすり、両手で頬をパンッと叩いた。


「いってぇ……」


 うん、しっかりと痛みを感じた。どうやら今見えているのは夢ではなく現実で――だとしたら、何がどうなってるんだよ!?


 どうして早紀と咲茉が俺んにいるんだ!?

 どうやって俺ん家に入った!?

 俺ん家の鍵は持っていないはずだが……。


 優芽もどうして裸で寝てるんだよ……普段は自分の部屋で寝ているくせに。


 俺は頭を抱えながら、瞳孔を大きくする。


 マジで何がどうなってやがる!? 俺は昨日……あれ? なぜだか昨日の出来事が思い出せない。今日は土曜日だから、おそらく昨日は学校に行ったんだろうけど……それさえも思い出せないんだが……。


 酒でも飲んだんか? 俺。……いやいや、未成年だし酒は飲まないと決めている。だとしたら、なぜだ? なぜ、昨日の出来事が思い出せない!?


 一旦、状況を整理しよう。


 なぜか昨日の出来事が思い出せない俺。

 幼馴染と元カノが家に入っている。

 そして、妹と幼馴染と元カノが俺のベッドに裸で寝ている。


 昨日の出来事が思い出せないのは、仕方ない。考えるのをやめよう。今、考えるべきなのは……裸で寝ている3人のことだ。


 パンツや下着を着ないでどうして寝ているんだ? もう色々と丸見えで、朝から過激すぎるんだけど! いや、そんな朝があってもいい……とは、ならないからね!!


 俺はどうすればいいんだよ……。


 俺が困惑していると、3人が同時に目を覚ました。


「あっ、お兄ちゃんおはよう」

「おはよう、大ちゃん」

「久しぶりね、大輝」


「ああ、おはよう……とはならないから! 何してんだよ!? お前ら……」


 3人はお互いの顔を見つめ合うと……俺の顔を見ながら、同時に同じ言葉を言った。


「「「裸で寝ていただけだけど……」」」


「えっ、そんなことも分からないの? みたいな感じで言わないでくれる!? そんなの見れば分かるよ! 俺が言ってんのは、どうして……いや、まずはなぜ裸で寝ているところからだな」


 すると、3人は笑みを浮かべ……幼馴染の早紀がこう言った。


「いや~、昨日の大ちゃんは大胆で獣だったなぁ……。あんな大ちゃんを見たら……好きになっちゃう!!」

「はっ? 今、なんて? つうか、どうしてそんなに顔が赤いんだよ……」

「お兄ちゃんと結婚するのは私だから!」

「いいえ、大輝と結婚するのはこの私よ! 大輝とは半年間、付き合っていたわけだし……」

「妹ちゃんと元カノさんは黙っていてくださ~い。大ちゃんと結婚するのは、幼馴染の私ですぅー!」


 朝から裸でいる3人は勝手に話しを進めて、あーだこうだと言い争っている。


 俺はそんな3人の姿を見て、目をパチパチとしながら……3人が言った言葉を脳内で繰り返す。


『お兄ちゃんと結婚するのは私だから!』


『いいえ、大輝と結婚するのはこの私よ! 大輝とは半年間、付き合っていたわけだし……』


『妹ちゃんと元カノさんは黙っていてくださ~い。大ちゃんと結婚するのは、幼馴染の私ですぅー!』


 いやいや、ちょっと待て。俺は誰とも結婚する気はないぞ。何を勝手に話を進めているんだ……もしかして、バカなのか? バカなんですか、あなたたち!!


 つうか、これって……『修羅場』だよな。


 裸で言い争いをしている、妹と幼馴染と元カノ。朝から俺は何を見せられているんだ。ちょっと待ってくださいよ~、女の修羅場ほど怖いものはありませんよぉ! これだったら、幽霊を見た方が幾分マシだ。


 あー、そうだそうだ。あのことを聞かないと……。


 俺はあくびをして、頭を掻きながら質問をする。


「どうやって早紀と咲茉は俺ん家に入ったんだ?」


 その質問を聞いた3人は、俺のことを見て固まっている。


 何かまずいことでも言ったか? いや、疑問に思ったことを聞いただけだ。何もおかしな質問じゃない。


「本当に何も覚えてないんだね、大ちゃん……」

「まあ、昨日の大輝は普通じゃなかったからね。記憶がなくても当然と言うべきかしら」


「えっ、そんなに昨日の俺って……普通じゃなかったのか?」


「「「イカれてた」」」


 3人同時の言葉攻撃……そうか、そんなに昨日の俺はイカれていたのか。だから、3人は裸で俺のベッドに寝ていた……いやいや、理由になってねぇよ!


 なんだか朝から頭の整理がつかなくて、パニックになりそうだ。


 ものすごく大きな声で叫んでいいか? 

 ……近所迷惑になるからやめておこう。

 近所の人からヤバい奴だと思われるだろうし……。


 俺の両親は月に3回程度しか帰ってこない。仕事が忙しすぎるんだとよ。だから、普段は妹の優芽と二人で生活をしている。優芽が家事などをやってくれるから、とても助かっている。俺は家事をやるのが苦手だからな。


「とりあえず、服を着てくれ」

「お兄ちゃん、朝ごはん作っていい?」

「ああ、いいぞ。服を着てからな」

「大ちゃんと一緒にご飯が食べれるなんて……まるで新婚夫婦みたい!」

「早紀、お前はちょっと黙ってろ」

「大輝にアーンしたい!」

「頼むからやめてくれ」


 なぜ、3人が裸で俺のベッドに寝ていたのかも分からない。

 なぜ、昨日の出来事が思い出せないのか分からない。

 なぜ、突然3人が俺と結婚したいと言うのかも分からない。


 状況が理解できないまま、俺は……いや、俺たちは進展するのだった。


――――――――――――――――――――――――

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