ホラー系女子の落とし方
和泉歌夜(いづみかや)
#1 花子系女子の落とし方
ある廃校の女子トイレの三番目のドアを叩くと、誰もいないのに中から返事が聞こえるという情報を聞いた僕は早速向かう事にした。
その前にケーキ屋に立ち寄って、その店で一番豪華なショートケーキをワンホール購入した。そして、花屋に向かい、あげたら大喜びしそうなラインナップを花束にしてまとめると、噂の廃校に侵入した。
お目当てのトイレを見つけ、ドアをノックする前に箱からケーキを取り出すと、ろうそくを刺して火を付けた。
そして、自宅から持ってきた赤い帽子と白い髭を付けて、ドアを数回叩いた。
「はーーなこさーーん! メリーークリスマーース!!!」
そう叫ぶと、ドアが少しだけ開き、隙間から怪しい瞳がこちらを覗いていた。
「は、はい?」
明らかに戸惑っている様子の彼女に「ふぉっふぉっふぉっ、サンタさんからのプレゼントでーーす!」とろうそくの灯ったワンホールのケーキを差し出した。
「わぁ……」
揺らめくろうそくの火に吸い寄せられるように、女の子はおかっぱ頭とサスペンダースカートの格好を顕にして、ケーキを受け取った。その瞳はさっきまでの怪しい光は消え失せ、純粋無垢な光に戻っていた。
「あとは……はいっ! これもどうぞ!」
さらに花束を花子さんに見せると、彼女はさらに表情を明るくさせて受け取っていた。
さすがにワンホールを一人では食べ切れないみたいなので、教室で一日遅れのクリスマスパーティーを行う事にした。
花子さんは噂で聞いていたのとは違って、ごく普通の少女だった。美味しそうにケーキを頬張ったり、一緒にジングルベルを歌ったりした。その後は鬼ごっこやかくれんぼといった昼休みの時間に遊んだようなことをして朝を迎えた。
彼女とまた会う約束を交わした僕は警察に見つかる前に逃げ出す事にした。しかし、廃校を出る前に巡回中の警察に見つかってしまい、あわや逮捕かと思われたが、僕の顔を見た瞬間、急に顔を青ざめて逃げ出してしまった。
一体どうしたのだろうと思っていると、艶っぽい声が聞こえてきた。振り返ると、花子さんが立っていた。が、子供の見た目ではなく成長した姿になっていた。
花子さんは見た目を変える能力を持っているらしく、彼女は僕の手を引いて夢の場所へ連れて行ってくれた。
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