学生トーク「つま先編」

山田 武

学生トーク「つま先編」



「──つま先、についてどう思う?」


「足の先」


「即答」


 それ以外にどう答えればいいんだよ。

 これまでの話題と違い、頭を捻るようなこともないと思うんだが……なんせ自分の体の一部だ、どう思うかと言われてもな。


「じゃあなんだ、あっちの……刺身とかについているアレの先をイメージすればよかったのか?」


「アレ……あれって、『つま』だっけ?」


「そうだぞ。字で書くなら奥さんって意味の『妻』とそれにカタカナのネが付いた『褄』があるな。まあ、その辺はスマホで調べないと思い出せないけど」


 俺もなんで覚えているか分からん。

 まあともあれ、これ以上話題を膨らませるのはもう無理だということはたしかだ。


「これをどう考えるか、というか意味について考えるのは今回は無理だな」


「じゃあ、何を考えるんだ?」


「うーん……普通に足の方だとして、つま先で何を思うかだよな。まあ…………先の方は足が冷えるよな?」


「なんで疑問形なんだよ。いやまあ、寒いと痛いと思うぐらいだけどさ」


 ここからはただ、つま先というか足の冷えについて話し合うだけの時間に。

 いつも通りスマホ片手に、割と熱心にその解決方法を調べ合うのだった。


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