ニコロ・ブラシアという男のつま先立ち
一華凛≒フェヌグリーク
第1話 絵が売れない
「悪いけど、ステラにポスターは描いてもらうことになったから」
それじゃ、と閉められた戸口に手を伸ばして、ニコロは固まる。
頭の中は『おのれ!』一色。
妻になんと説明しようだとか、子どもたちをまた泣かせてしまう悔しさだとかは後からついてくる。まず感じるのはいつも胸を焦げ付かせる『おのれ!』だ。自分への悔しさ、情けなさや仕事を奪っていった相手への賞賛や怒り併せての激情だ。
悔しさに零れた涙を袖で拭って、ニコロは次のお得意様の店に足を向けた。
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