ドアを開けたら先生に黒板消しが落ちてくるドッキリのその数秒前の話

沼津平成@空想≒執筆

Before

 ここは男子校。食堂で、僕は同級生綾人どうきゅうせいあやとに呼びかけられた。


「ドアを開けたら先生に黒板消しが落ちてくるドッキリあるじゃん」

「ああ、あるのう」

「あれさ、どんなでああなるか知ってるけ?」

「知らんと言いたいけ、わい知ってるのや。、普通に背の高い生徒やからが上の方に登ってさ、『よしゃ! 黒板消し置いたでぇ〜』つって黒板消し挟んでェ、下の方からドア閉めて上の子が指挟んでいててェいうて……」

「いや余分なの入っとるなぁ〜 確かにあるあるやけど」

「で学校ではそれを『こくけしダコ」と呼びいつの間にかクラス全員『こくけしダコ』ができて……」

「うわー確定犯やなぁー」

「棒読みなるけ、納得や。でも続きは聞いてェな」

「わかったわ」

「でな、紙コップの中にその黒板消しは入っとんねん」

「なんか急にはなしぃ飛躍し始めたけ、大丈夫か?」

「大丈夫や。紙コップは輪ゴムをレールのように伝い、先生の手にかかるんや。

 手錠をかけられた先生ェはふっと力を抜いた瞬間、うわ〜と突き飛ばされ、男子トイレと女子トイレを隔てし奇跡の壁に体をうちつけ——ここは割愛するがな——ドアで引っかかる。振動でドアが揺れてさァ、黒板消しが落ちるんや」

「聞きたくなかったなァ、でもの話はおもろいわァ」

「なあ同級生。苗字が同級生のやつってお前のやつにいるんか?」

「いないと思うわー。っていうかなんで毎回締めはその話やねん」

「まあまあ。……あ、昼休み終わるわァ。ほな、またな!」

「またなー」


(了)

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