3、推し活動
第12話
「おはよう」
「おはようございます!!」
あの日から私は清野さんと挨拶をする仲になった。
時間があるときはそのまま雑談へと話が続き会話が弾む。
そのほとんどは会社で飼っているチャップ様ことが中心。
「こいつは人によって態度を変えるけど、瑠璃ちゃんは大丈夫みたいだね」
「―――はい、毎朝ガラス越しに推し活動してましたから」
「あはは、知ってる。俺もチャップと一緒に見られてたから。推し活動って具体的に何するの?」
「それは・・・その、好きだよーってテレパシーを送りまくるんですよ」
私たちは昼休みにこうやって清野さんと会うことが多くなった。
彼の権限で推しと謁見ができるようになったからだ。
「―――へぇー?そうなんだ。・・・いいなお前は、ずるいぞ」
「・・・・・あ、あははは」
今の発言はナニ!?
”ずるい”とは?
―――よくわからないってことで、笑ってごまかした。
「―――じゃあ、そろそろ部署に戻りますね。外に出るから用意しないと」
「そっかぁ、残念。外回り気を付けてね。今日は暑くなりそうだから」
「はぁーい、それじゃあ、また」
「はい、また明日ね、瑠璃ちゃん」
また明日もここで待ってるってことかな?
っていうかさ、いつの間にか名前呼びになってるよね。
名前って―――教えたっけ?
名字は名乗った気がするけど。
でも、まあ、同じ会社なんだし、社内のHP見ればすぐわかるか。
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