コンビニエンス:ナンセンス・フィクション — 滑稽なホラ吹き話の掌編図録 —
夢咲蕾花
第1話 暗い道
なんだか奇妙で薄暗い道だと感じた
そんなことを選ぶ必要なんて全然ないし、税金も滞納していないし、借金もしていない家庭だから何を恥じる必要があるのかわからなかった。
決して他者を傷つける生き方だってしていないのに、なんであんなのを恐れないといけないのか。
けれどもヤンチャそうというだけで実際そうとは限らない。自分の真面目系クズのフィルターが炸裂しているだけだという自己嫌悪が、薄暗い道をさらに暗くする。
暗い道には暗い道の流儀があるんだろうか、とどうでもいいことを考えた。
暗い道では暗いことが起こって、暗い気分でいないといけないみたいな。あるいは壊れかけの祠を気づかず壊して物語のきっかけを作るんじゃないか、みたいな、暗い期待。
まあもちろんそんな馬鹿げたことなんて実際にはあるはずもなくすぐに国道沿いの明るい道に出た。
なんだったのだ、あの思わせぶりな不安は。
そのように呆れ腐った影島は、でもそう思ったのは俺の勝手な思い込みだよなと、自分の意味のないクリエイティビティな才能に、脳の無駄な労働力を使ったと、ため息をついた。
明るい道を歩くと、なんだか申し訳なく思った。
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