第三十一話『第52回入団式』
───俺達は試験に合格した。
最終試験を終え、翌日になると全員宮殿の大広間に呼び出された。
そこには討伐士団全員が綺麗に整列しており、その立ち振る舞いはまるでアニメに出てきた騎士の姿そのものだった。
「ではこれより、第52回入団式を始める、合格者は前に出ろ!!」
俺達が呼び出された。その言葉に返事を返し、前に順位順一列に並ぶ。
「ではこれより、晴れて討伐士試験に合格した10名の紹介をする。呼ばれたら返事をして後ろを向いて一礼しろ。」
入学式かよ。と頭の中でツッコミを入れたが、確かにこれは大事な事だ。
「第10位!!奥寺絵梨花!!」
「はっ、はい!!」
奥寺絵梨花(おくでら えりか)
臆病な性格だが身体能力が高い。ポテンシャルだけでここまで昇ってきたが最終試験では剣を振る前に降参していた。
「第9位!!高坂芳生!!」
「はい。」
高坂芳生(こうさか ほうせい)
身体能力こそ普通レベルだが、頭がいい。
戦略を立てるのが非常に上手いため、相手の弱点などを直ぐに分析できる。機械に強い。
「第8位!!ジャガル・マグネル!!」
「はぁ〜い、ヨロシクねッ♡」
ジャガル・マグネル
カエルと人間の異種族。
そして単純にオネェな男!それ以外は特に無し!!
「第7位!!メタルライド!!」
「はい。」
メタルライド
とある企業によって作られた人型AIロボット。
戦闘型では無いため戦闘技術はそこまでないが、見た目は完全に人間。
だが目を見るとうっすらスナイパーの照準っぽいものが見える。特定の人物をサーチする事なども出来るらしい。
「第6位!!名古井伊織!!」
「はい!」
名古井伊織(なこい いおり)
最終試験でメタルライドを降参させた。
基礎体力が多く、長く動き回れるのが特徴。
長期戦に持ち込めば、彼女は真価を発揮する。
「第5位!!川崎彩葉!!」
「はい。」
川崎彩葉(かわさき いろは)
川崎琴葉の妹。
どんな理由で未来にこれたかは不明だが。姉の琴葉とは喋っていないらしい。
琴葉とは違い人との関係をあまり求めないタイプで、常に一人で居る。
剣術スキルは、姉には届かないが戦闘型ロボットと互角にやり合える強さ。
「第4位!!宮本武蔵!!!」
「はい!皆さん!よろしくお願いします!」
宮本武蔵(みやもと むさし)
元気がある少年。
剣術、体術ともに人以上に優れ、スピードが圧倒的に速い。
最終試験では全員を倒して一位になった。
「第3位!!桜木翔也!!」
「はい!」
桜木翔也(さくらぎ しょうや)
明るく元気な性格で、たまにふざけすぎる一面もあるが、身体能力だけでいえば今回の合格者の中で一番高いレベルにある。
「第2位!!小柳深海!!」
「はい。」
小柳深海(こやなぎ しんかい)
彼はポテンシャルの塊のような男だ、フィジカルも体つきも非常に良く、剣術もよく練られている。伝統派のような立ち技で尚且つ体術もしっかりと出来る。
「そして第1位!!川崎琴葉!!!」
「はい。」
川崎琴葉(かわさき ことは)
彼女は圧倒的に剣のスキルが高い。彼女も深海と同じく伝統派の流派だろうが、技の練度が圧倒的。そして彼女が第三次試験で見せたあの『神撃斬』を見る限り、彼女はこの世界に数少ない『天の導き』の所有者だろうな。
「以上!!10名!!君たちは討伐士として、これから大いに活躍してもらいたい!!」
「団長挨拶!!団長!前へ!!」
「───団長の神蔵源治だ。…こうやって見渡してみると君たち、いい面構えをしているな。これは期待出来そうだな。君たちの入団快く歓迎しよう。さて、ではここで少し君達討伐士の皆に話しておきたいことがある。聞いてくれ。」
「一昨日、とある者の情報提供により、天道教の素性が少し見えてきた。天道教は7人の幹部、そしてその上に皆が崇める絶対神が居る、そして────」
「この内容、一昨日琴葉がオレに伝えてきた内容だ。」
「───私はこの話を聞き、これは運命だと思った。ここ数年何も素性が見えなかった天道教が、今徐々に姿を現しつつある。これは風向きがこちらに向いてきていると言っても過言では無いはずだ。だから我々はこの代で、必ず天道教を壊滅させる。その為に、君達にも協力して欲しい。そしていずれ、香良洲の素性も突き止めて、この世界に平和をもたらしたいんだ。」
「我々はその為にここにいる!!!我々はここで命を捧げなければならない!!この地に生きる全ての人達の幸せを!!平和を!!我々が守り抜く!!!君達は!!私に背中を預け!!人生を捧げろ!!!!」
大歓声が巻き起こった。
新入りである俺達は困惑したがその歓声に乗った。
団長の闘志が奮い立つような叫び声、それに答える討伐士団。実感が湧いてくる。
これから俺達は正式に、討伐士として皆の平和を守っていく立場になる。
「これで話を終わりにする!!!」
「団長!ありがとうございました!」
「最後に、天皇陛下による討伐士認定書授与!天皇陛下は前へご登壇下さい。」
卒業証書授与式みたいな感じなんだな、と頭の中で思いながら、一人ずつ名前が呼ばれていく。
「───小柳深海!」
「はい!」
壇上に上がり、天皇陛下と対面した。
「──おめでとう、君には期待している。是非精進して頑張っていってくれ。」
「はい、ありがとうございます。ご期待に添える働きが出来るよう尽力致します。」
一礼した。そして戻り、全ての人の認定書授与が終わり。
「これにて!!第52回入団式を終了する!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
入団式が終わり、王宮の中で一休みしていた。
「み、皆さん!これから一緒に頑張りましょうね!」
奥寺が言った。
「そうだね、これからは全員仲間になるわけだし、まぁ順位分けというので言うなら敵になる訳だがその場合はいささかややこしい────」
高坂がブツブツと言った。
「まぁ細かいことはいいじゃないか!!俺達は晴れて討伐士!!みんなと仲良く切磋琢磨して行こう!!おーー!!」
宮本が元気よく言った。
「みんな元気だよなぁ。」
「まぁな、正式に入団したってことで、気が晴れたんじゃねえの?」
「でもうち、なんで第6位なんだろう。」
「弱えのにな??ハッハッハ!!」
「オマエハマタコロサレタイノカ?」
相変わらずだ。
こいつらは何も変わらねえ。というか、変わらなくていい。
「あ、そうだ。せっかくですし、VINE交換しませんか??いざって時の連絡とか、必要ですよね?」
「そうだね!!!名案だよ奥寺ちゃん!!よしみんなで交換しよう!!」
みんなでVINEを交換した。
VINEのアイコンと一言メッセージは、皆の性格が出ていて結構面白い。
例えば宮本の場合、ダンベルのアイコンになってて、一言メッセージが、『皆も一緒に筋トレしてキャンプしよう!!』になってる。
こうして俺達は、無事討伐士になった。
討伐士の道は、決して簡単じゃない修羅の道なのは重々承知している。
だが、明確な目的がある以上、ここで諦め落ちる訳には行かない。
──さぁて、これからがオレの人生の本番だ!
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