第十四話『突然の惨劇』
────久しぶりだなぁ。この家。
沢山の荷物を背負いながら、懐かしいと思えるような風景。そして扉のドアノブに手をかけて、ゆっくりとドアを開ける。
「あぁ!!シンくん!!!!!ひっさしぶりいぃぃい!!!随分体大きくなったね!!相当頑張った証だ!怪我は?怪我はしてない?──── 」
ゆっくりドアを開けた光景とは裏腹に、思いっきり飛び出してきたバカ一人。何も変わってない彼女に安心しつつも、うっとおしい。
「あらあら、おかえりなさい。よく帰ってきたね。えらくがっちりしたじゃないか。」
おばあちゃんが続けて出迎えてくれた。
「ほう、これは大したもんじゃ。一年だけとはいえ、見違えるほど変わったな。正直予想外じゃよ。」
「師匠!はい、美咲から色んなことを教わりました。これで、あなたを超えられるはずです。では早速、木刀を用意して貰えますか?」
「ふふっ、いいじゃろう。来なさい。」
1年ぶりの庭に案内された。
思えば一年前のあの時、ここで負けてから、俺は闘志に火がついて、今まで修行してきたのだと思うと、考え深い部分があるなぁと感じながら、ストレッチを軽く行い、木刀を握り構えた。
「────オレ、もうあの時より弱くないですよ師匠。今日オレは、あなたを越えます。」
「分かっておるわ。その構えから既にな。言っとくがワシも本気で行く。覚悟しとけ。」
─────その前に!私が作ったサンドイッチ食べてからにしませんかー!
遠くから声が聞こえた。見ると彼女がおぼんにサンドイッチが乗っかった皿を持ってきた。師匠と俺は二つ返事で。
「ああ、食べる。」
「ああ、食べる。」
完全にハモった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ふう、食った食ったあ。」
完全に満腹になった2人、先程よりエネルギーが出てくるのを感じていた。
「では始めるとしようか。深海。」
「ハイ、お願いします師匠!」
「いけー!がんばれー!負けるなー!」
両者が構え、どちらか足を動かした瞬間。
木刀が交錯した。火花を散らせながら風を巻き起こしている。
「2人とも早くて、目で追えない!!やっぱり相当強くなってる!!」
彼女は興奮気味に見て、おばあちゃんは息を飲んでいた。
数分間続き、お互い体が温まってきた時。
───────── おぉっと、一旦そのお遊びは終わりにしてもらおうか?
いきなり爆弾のような物を投げつけてきた。
2人は反射的に避け、すぐさま飛んできた方を見た。
その見た目やオーラから、窓付近にいる女性二人を危険だと判断し、大声で叫んだ。
「おい、おばあちゃん!コイツは危険だ!アイツと一緒に下がれ!!」
「だから、名前で呼んでよ!もう!おばあちゃん!こっち!!」
おばあちゃんと愛菜は避難し、庭にじいちゃんと2人で横に並んで侵入者を待ち構えた。
「一時休戦じゃ、深海。」
「お主らは何者じゃ、いきなり割って入ってくるとは失礼なヤツらじゃのぉ。」
「うるせえよジジイ。正直あの一撃でくたばってくれたらよかったんだけどなァ?」
フードを被っていて顔が分からないが、身長が明らかに人間を超えていた。
見た感じ2m20はあるように見えた。
「俺は信仰宗教 "天道教" 守護者 『武蔵坊弁慶』だ。」
「弁慶!?え、あの弁慶!?つか天道教って何!?」
「天道教の奴らは皆、歴史上の人物から名前を取ってくるんじゃ。じゃからあれは本名じゃない。自分でつけた偽名のようなもんじゃ。」
「天道教の教えは、天の定めた道に従えと教える宗教でな。神の教えに従えば必ず報われる、幸せになるという教えを信じ続けた人間達が集まる場所じゃ。余談じゃが一昔前に韓国という国で、同じものがあったようじゃが、これとは別物じゃ。」
「フン、長々と説明してくれてありがとよ、ジジイ。さて、最初の爆破作戦が失敗に終わったんじゃ。口封じのために誰か始末しねえといけねえなぁ?」
嫌な予感がした。
何か狙われている。周りを見渡した。
そこには、奥に逃げたはずのおばあちゃんが怯えながら見えていた。
「あの婆さんだ。あの婆さんを始末しろ。」
「ばあちゃん!!!なんでそこにいる!!いいから家に入れ!!狙われてんぞ!!!」
思い切り叫んだ、婆さんは腰を抜かしていた
弁慶の手からは銃のようなものが出てきた。
一瞬の出来事だった。
弁慶の一撃は確かに放たれた。
俺とじいさんが全力で守ろうとしても
銃弾の速さには間に合わなかった。
婆さんは、腰を抜かして後ろに尻もちを着いた、助からない。そう思った時。目を疑った
─────愛菜の腹部に、銃弾が当たった。
「ぐふっ … 、」
「…… あい、な?」
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