そして君は明日を生きる
佐野 零斗
エピローグ
第一話『キミと俺は、未来へ』
俺には、昔からの幼馴染がいた。小学生からの腐れ縁というやつだ。
俺は小柳深海、みんなからは『シンちゃん』と呼ばれている。某クレヨン少年と同じ呼ばれ方だが、俺は非常に満足している。
「──ねえシンくん、今日何しようか!!」
この小うるさい奴が幼馴染の海宮愛菜、びっくりするほどの優等生で、成績優秀、親は金持ち、生徒会長というハイスペックぶり。正直あんまり関わってほしくないのだが。
「ええ…?なんでもいいけど。俺今日秋葉原で推しメイドのあずさちゃんに会いに行かなきゃいけないから。」
「ちぇ、つまんないの~。じゃあ私も着いていく!」
「馬鹿かお前。お前が来たら、あずさちゃんからしっかりとしたサービス受けれねえじゃねえか。」
「しっかりとしたサービス?ってなに?」
「…うるせえ。お前には関係ない。取り敢えず今日は帰る。」
「分かった。…というか、名前で呼んでよ。そのメイドさんは名前で呼ぶのに、…昔は呼んでくれたじゃん。」
確かに昔は馴れ馴れしく、『あいなちゃん』と呼んでいたが、今思い返すとなんか恥ずかしい。言いたくない。
「考えとく。じゃあ俺こっちだから、もう一人で帰れるだろ?」
「いつまで子供扱いする気なの。大丈夫だから。じゃあ、またね。」
彼女が振り返り家の方へ歩いた。それを見送った俺。
その時、彼女に少し違和感がある気がした。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「はあ、楽しかった!!」
電車で最寄り駅まで降りて一言。完全に堪能しきって気分が上がっていた。
「いやあ、このチェキは一生の宝ものだな。まあ全部で75枚くらいあるけど。でも一回一回顔が違うのがいいよな。」
チェキを見てにやにやしながら帰り道を歩くと、学校帰り別れた彼女の家の前で、彼女の声が聞こえた。
「──あ!シンくん!なにニヤニヤしてんの?」
「別にいいだろ。ただあずさちゃんとの思い出を見て浸ってるだけだ。」
「ええ、なにそれ。」
「お前は、今何してんの?」
「いま、おとうさんが帰ってくるっていうから、待ってたの。」
「あ、そうか。じゃあ俺邪魔か?」
それよりも見慣れない服を着ている彼女を見ているのが恥ずかしくなった。いち早くこの場から去りたいと思っていたところだった。
「──邪魔じゃない。…少し、付き合って。」
彼女の眼は、いつもより真剣で、どこか寂しそうな目だった。
そんな彼女を見ると。やっぱり違和感があった。
「…お前。なんかあった?」
咄嗟にその言葉が漏れた。彼女は、はっとした顔でこっちを見つめ。
─────────私ね。
とその瞬間。遠くの方から男性が走ってきた。二人はその男性に視線を向け驚き
「な、なんなんだあの人、なんか全速力で走ってくるぞ!?」
「───お父さん?でも、なんか様子が変…」
彼女の父親と思われる人物が、走って近づき大声で怒鳴った。
「お前らがああああああ、犠牲になっちまえぇェェェェェェェ!!!!」
──次の瞬間。脳に何か衝撃が走った。俺たちは意識を失い、倒れた。
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