芦屋×新城 私の夢
将来の夢を叶えられる人は限られている。
例えば学費が必要で、お金が無いと志望高校や専門学校に通えない。
例えば理解が必要で、家族や教師の理解が得られないと反対される。
例えば、例えば、夢にも種類はあるけれど条件によっては叶えられる願いや、叶えられる願いがある。
私の小さい頃の願いは何だったかなぁ…今では思い出せないけれど、今ある願い事ははっきりと言える。
『恋愛結婚』をする事。
この私、新城由紀は頭に髪飾りの様に花が生えている、花人という種族で、歌や踊りを踊ると植物を生やす不思議な力がある。他にも特殊な体質があるんだけど、今は割合する。
兎に角その特殊な体質のせいで、将来は国に有益な、若しくはエリートな半神・鬼人と結婚して主婦、もしくは主夫になる事を決定付けられている。
国と役所が精密に審査しているから、悪い人では無いとは思うけど花人は高校卒業間際に、就職活動に変わってお見合い活動をする事になっている。勿論学生恋愛をして両家の家族と役所の人と三者面談ならぬ五~七者面談をして、本人同士の気持ちや交際相手が将来有望なら、卒業後はそのまま結婚する事もある。
私も結婚するなら年上の知らない大人よりも、恋して恋された人と結婚したいと、年頃になってからは乙女の様な夢を持っている。
そう思って婚約者が決まっていない、良い相手が見付からないかな~と半神や鬼人が通う、エリート学園の前で待ち伏せしている。
「よう新城!今日も出迎えご苦労!」
「お前に用はない、帰れ早乙女」
最もその夢と計画は幼馴染みに寄って潰されている。
まぁ言い訳するのなら私は小さい頃は男勝りで、おままごとや魔法少女ごっこよりも、探検や追いかけっこの方が好きで良く男子に混じって遊んだり、髪を短髪にしたりと男子と殆ど変わらず妹が産まれるまで、両親を良く困らせたものだ。
それも小学校までで中学校からは花人の通称花嫁修行学校(※正式名称は違うけど皆そう呼んでいる)に通わされて、年頃になったのと合わせて、耳にタコが出来る程、男子も女子も将来の結婚相手の事や、恋愛話を話していて漸く焦りというか女子としての自覚が出て来たのだ。
最もその自覚が出たのも高校生の時からで、中学も学校が別れても放課後は早乙女と合流して変わらず遊んでいたけれど…高校に入ってから慌てて恋人を作ろうとしても、私の男勝りだった黒歴史は近所の同級生には知られていて、上手く知らない人とデートまで漕ぎ告げても、無理矢理浚われる形で早乙女に遊びに誘われて破局する事は数知れず。
半分は過去の自分の自業自得だから強くは言えないけれど、ここまで妨害されると流石に腹が立つ。
「今日は何処に行く?」
「早乙女!あんたはもう高校3年生で進路の事もあるんだから、いい加減放課後は遊ぶ思考をどうにかしなさいよ!!」
「進路?」
「行きたい大学やなりたい職業は!?先生から何か言われてないの!」
「お前…母ちゃんと同じ事言うなぁ」
「~っ!」
「おいこんな校門前で夫婦漫才すんなよ」
「今日も尻に敷かれてるな~早乙女~!」
早乙女の言葉に怒りが湧いていると、学園の方から野次が聞こえてきた。毎度言われる事ながら、こんな奴と夫婦扱いされると本当に腹が立つ。
「だからこんな奴と組んでるみたいに言わないで下さい!」
「そんな事言って満更でもねぇんじゃねぇの?」
「まさかぁ!早乙女が欲しいって奴が居たら熨斗紙付けてあげますよ!何せ鬼人で希少価値だけはある奴なんで!」
「おい流石にんな事言うと怒るぞ」
「私は流石に高卒ニートとは友達になりたくないの!このまま行くと無職だぞ!本当に如何するんだよ将来!!」
「!?っ…えっと、今学園の中で1番強いから、将来はガキ大将になってお前とずっと居る!!」
「それの〇太と同じ返答じゃねーか!?いい歳して親父さん泣かせるつもりか!」
私のツッコミに周囲が笑い出す、そのネタ通じる現代の子は居ねーぞって野次を飛ばされて、私は恥ずかしさが一周回って素面に戻る。
「今日はもう疲れたから帰る」
「おい!まだ遊んでもねーのにもう帰るのか!」
「お前とは付き合い切れない!兎に角将来の就職如何するか考えろ!具体的な案が出て、担任教師に提出するまで遊ぶの禁止だからな!!」
「嘘だろ!?待てよおい!!」
私は早乙女の呼び止める声を無視して帰路に着く、何で私があんな奴の将来の心配しなきゃなんないんだろう。私には私の将来が掛かってるという時に…。
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