『無能は異能』 〜異能学園で無能力者がトップを目指します〜
傘ヲ
第1話 オルディア異能学園
―――異能―――
それは人間が突如手に入れた力だ。
現在、異能を持つ者の割合は99.9%である。
火を噴く者、氷を操る者、雷を纏う者、空を飛ぶ者。
そんな人間がこの世界では普通である。
逆に異能を持たない者が「異常」なのだ。
俺、「レイ・クロウ」もその「異常」の内の1人だ。
俺は子供の時に受けた異能検査で「異能なし」と診断された。
それから、周囲の目が変わった。
友達は離れ、先生には呆れられ、親にも見捨てられた。
異能がない、それだけで、俺は社会から迫害されたのだ。
父親にこうも言われた。
「異能がないとか、生きてる価値あんのか?」
俺はその言葉が頭から離れなかった。
でも、俺は諦めなかった。
異能がないなら、異能に匹敵する肉体を手に入れようとした。
それからは黙々と体を鍛え続ける日々だった。
体を鍛えては近くの貧困地区で異能者に喧嘩を売りに行く毎日。
何度も俺は負け続けた、でも俺は1歩も止まらなかった。
そんな時、俺に転機が訪れた。
世界最高峰の異能学園「ドルディア異能学園」が異能なしでも試験内容が良ければ、合格できる特例入学制度を発表したのだ。
ドルディア異能学園は浮遊学園都市に存在する、入るだけで未来が約束される、そんな学校だ。
俺はそれに賭けた。
世界最高峰の異能学園「ドルディア異能学園」で異能が無くても戦えることを証明するのだ。
結果、俺は特例でドルディア異能学園への入学を許された。
異能を持たない者の入学は学園史上初の事だった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今日はドルディアの入学式だ。
広大なホールには新入生達が整然と並んでいる。
最前列には入試で最上位にランク付けされたAクラスの連中が座っている。
彼らの表情は余裕そのものだ。
一方、俺がいるのは最底辺のFクラス。
ホールの片隅に追いやられるようにして座る生徒の中には、緊張で足が震えがっている生徒が大多数だ。
そして、壇上に1人の女性が上がる。
彼女はアイリス・フロスト。
銀髪と青い瞳を持つ彼女は、この学園の生徒会長であり、異能「氷雪の皇帝」を持つこの学園最強の存在だ。
「ドルディア異能学園へようこそ」
アイリスの声は冷たく澄んでいて、ホール全体を一気に静寂に包み込む。
「この学園では、実力がすべてです、異能の才能、戦闘能力、そして知性を兼ね備えた者だけが生き残ることを許されます」
アイリスは続ける。
「すべての生徒には『ポイント制度』『異能バトル制度』が課されています」
その言葉にホール内がざわつく。
「異能バトルとは、生徒2人が了承すれば発生する、ポイント争奪を賭けた戦闘です、勝てば報酬を得られるが、敗北すれば失う……この学園の掟です」
俺は冷静にその言葉を聞いていた。
「次にポイント制度です、これは定期試験や課外授業や異能バトルで優秀な成績を残した者が獲得できるものです、これを使えばクラス昇格、武器の購入、寮の部屋のリフォームなどあらゆるサービスを受ける事ができます」
(つまり、Aクラスに成り上がるにはポイントが必要不可欠なのか)
アイリスは冷たい声で続ける。
「これからの君たちの学校生活に健闘を祈る、これで私からの説明は以上だ」
アイリスは舞台裏に消えていった、少し目があった気がするが、気のせいだろう。
次に学園長が壇上に上がる。
「これから新入生は教室に戻り、担任の先生の紹介をして今日は下校だ、これで入学式を終わる」
(まぁ……頑張ろう…)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
俺らは教室に戻り、少し待機していた。
俺は自分の机で爆睡しようと思っていたが、周りの視線や陰口らしきものが聞こえてきて眠れない。
(まぁ、異能がないやつが入ってきたんだ、そら噂になってるか……)
そんな事を思っていると、教室のドアが勢いよく開いた。
そして、おそらく先生らしき強面の若い女性が教卓に勢い良く手を置き、話し始めた。
「揃いもそろって馬鹿みたいな顔をしているな」
教室がザワついた、新しい先生の1言目が暴言だったからだ。
先生ガチャは大外れかもしれないと思い、皆が顔を見合わせる。
先生はそんな事は気にせず話を続ける。
「私の名前はセレナ・オルティナ、お前らFクラスの担任だ……今日はこれで終わりだ、明日から本格的な授業が始まるぞ」
(まず、俺のすべき事はAクラスに上がることだな)
おもしれぇ! 続き見てぇよ!
そう思ってくれたら、☆☆☆をお願いします!
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