第七話 朱雀の神将 —煉夜—
「
その様子を横目に、
「
女も命は惜しかろう。
我ながら「甘い考えだ」と思うが、無下に散らす必要もない。
——けれども、女は引かなかった。
「よろしおすえ。ほんならうちも手加減致しまへん」
女が両手を広げて目を見開く。
と、その周囲で炎が立ち
眼球の白眼が瞳と同じ
頭頂部、白髪の間から白い獣の耳、背からは長い尾が幾本も生え、さらには炎が全身を包み込んで——。
次に炎が晴れた時、女はとある獣へと変化していた。
毛色は
〝
「あ、ああ……っ!」
予想外の大物に慌てふためくのはわかるが、
「ふむ、
「
「まったく、
どこで
「何を事も無げに……!
貴女が優れた霊力の持ち主である事はわかりますが、一介の
「なんだ? 主様の事、
「何をですか!?」
『やかましおすなぁ。
そないな
尾の先に
『
「うわあぁぁ!!」
結界は揺らがず健在だ。
害が及ぶはずもないのだが、目先の光景に惑わされて正常な認識が出来ないのだろう。
「
炎にまかれた自分を心配する
「
「でも、炎が……!」
ただの人であったなら一瞬で消し炭となっていたところだが——生憎と死ねぬ身体だ。
それに
「ふふ。ぬるい
『なんや、余裕そうやねぇ。まだまだありますえ、ぎょうさん味おうとぉくれやす!』
九尾が白炎を次々と撃ち出すのが見えた。
「
これ以上、
「
「二人の事はお任せ下さい、主様」
反撃の一手を投じるために。
『〝
『害気を
炎が踊るように
『
内側に眠る
辺りを
『なんやの!?』
つま先から頭のてっぺんまで、自分を形作るものが熱を帯びて変容してゆくのを感じながら、
——と、
「
白炎を
九尾へ向かって滑空し、頭上より
『ああああ!』
九尾は
『
地上へ降り立った
『
またしても、またしても邪魔をするんか!!』
それは火を司る炎帝・
都を守護する
解き放たれた
「〝またしても〟の意味はわからぬが、我が平穏を奪わんとする〝敵〟は
『おのれ! おのれえぇ!』
炎は通じないとわかっているだろうに。
「見苦しいぞ、九尾」
斬撃に合わせて青炎が走る。
『ぎゃあぁッ! 朱雀ぅ!!』
身体を
こちらの頭に食らいつかんと突進してくる。
が、動きが丸見えだ。
「無駄な足掻きよ」
『
すると、地面から
『小賢しい真似をぉ!』
縛り付けられた九尾が逃れようともがくが、その行動が逆に鎖を食い込ませていく。
『グウゥゥ!』
「さて、どうする? このまま浄化されるか?」
『うぅ!
九尾は腹の底から
そうすることで術から逃れ。
『この借りは、いつか必ず返しますえ……! 朱雀!』
一瞬の内に空を駆け去って行った。
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