エメラルドは幸運や希望という前向きな石言葉があるので、それが産まれたてのかわいい赤ん坊のお尻から出てきたというのは、ほんとうにやさしい話だ。しかも、そのエメラルドは赤ちゃんのお母さんが昔飲み込んだものだという。真珠貝のように母親の中でエメラルドが根付いて、それをいつの間にか赤ちゃんが取り込んで……もちろん現実ではまずありえない話だろうが、現代ものの小説としてなんてロマンチックだろう。宝石知識と、赤ん坊の愛らしさ、生命の尊さや神秘をうまく合わせた素敵なお話しだった。