社畜リーマンが異世界でTSしてモテまくる
利根川藤代
第1話 あっちの世界
今日も残業かぁ・・・
なかなか終わらない仕事。
机の上は書類だらけ。このデジタルな世の中で紙ばかりとか
どんだけアナログなんだろと思うんだが。
あーやっと終わった。
さぁてと帰るかな・・・
会社ビルって言っても、
丸の内とかにあるような、シャレオツなビルじゃなくてさ、
昭和感丸出しのビルのワンフロアが俺が勤めている会社なんだわな。
一応、IT系の会社なんだけど、でも書類だらけって・・・
それはそれで良いとしてもさ。
電車を乗り継ぎ、最寄り駅に着いた。
信号のない横断歩道を渡ろうとするんだが・・・
なかなかクルマが止まる気配を見せないんだわな。止まれ!っての
お、止まってくれたか
歩き出すとさ、右手からプリ〇スがつっ込んでくるのが見えたんだわ。
あ、死んだわ。これ・・・
ドーンってすごい音がしたけどね。
救急車やらパトカーやらが来てて。
跳ね飛ばされた俺に人工呼吸している救急隊員やら、はねたクルマのドライバーを
警察官が取り調べしていたり・・・じじいだな。あれ。80オーバーだぞ。
そんな様子を上空から見ている俺。
そのうちそんな光景もうっすら見えなくなり・・・
気が付くと
まばゆい光の中に俺はいた。
ふわふわと浮いている様な感じ、浮き輪でプールに浮いているって感じ。
「あの世界でお前は死んだ」
だれかの声が聞こえるんだよな。神の声か?
「ここだよ、ここ」
と言われても良く見えない。光がまぶしすぎてな。
その光をジーッとみていると、何やら神様のような人だかなんだか見えてきた。
「よぉ、ここだっての。解んねえのかよ」
随分口の悪い神様だなぁと思ってたら、やっと姿が分かってきた。
これは・・・
異世界アニメによく出てくるような姿かたちをした神様ってのがいたわけだ。
「お前の名前は?」
「俺?今田直人だけど」
「そうか、これから二つの選択をしてもらう」
「お、なんだなんだ??」
「一つは元の世界へ戻る。二つ目はこの異世界でずっと過ごす。さぁどっち」
なんだかベタなクイズ番組のような展開だわ・・・
「お前は元の世界では死んだことになっているからな。分かるな」
ってことは戻ったとしても別人として復活するのか?
うーんもうあの世界に別人とは言え戻るのも・・・
なんなら異世界でずっと過ごすってのもアリかもな。
だって俺、もう両親も事故で亡くなってるし、一人っ子だし。
親類はいるけど、遠く離れているからもう俺一人みたいなもんだからなぁ・・・
じゃあ異世界で過ごすことにすっか。
「神様さぁ、俺こっちの世界を選ぶわ」
「そうか、じゃあこれな」っていって神様がさ、杖みたいなものを振ったんだよ。
俺の身体になにか電気が走るっていうか、びりびりっていう感覚があって・・・
そのまますぅーっと意識を失ってだな。
気が付いたら草原の上に寝てるんだわ。
やけに体が軽く感じるし・・・
起き上がって周りを見ても、丘陵地帯の草原の中。
俺だけぽつんと座っているって感じ。
遠くに濃い緑の山々が見えて、滔々と流れる大きな川もあって。
丘を下ると道らしきがあるようだが。
おや?向こうから農夫と女の子が歩いてくるな。
すれ違いざま、農夫はハッとした顔してるし
女の子は、目がハートになってるんだわなぁ・・・なんか顔に着いてるか?
「あの・・・」
「はい」
「これからどちらへ?」
どちらへと聞かれたところで、ここがどこかさえ解らんのだし。
「あの、此処はどこですか?」
「ジルトニア王国のナーニルン村です」
「きょうは何日ですか?」
「ナルトア暦831年5月11日です」
ナルトア暦・・・なんじゃそら?西暦とか昭和とかじゃねえんだ・・・
まぁそれを聞いたところで何かとかなるわけじゃねえし。
「ところで、あなたは誰ですか?」
「あ?おれ?」と言ったときに、ギョッとした顔すんだよね、二人とも。
「あの、どこかに鏡ないっすかね?」
「教会の前にある噴水に行ってみますか?」
って言うんで、付いて行ったんだが・・・
水に写る俺の顔・・・見たら驚いたわ。腰抜かすってのはあのことだな・・・
腰まで長いブロンドのロングヘア。前髪がそろってる。
スッと高い鼻、青い瞳、陶磁器のような白い肌。
おおおおおおお!!!!!!!だれだ?これは!!!
正直恐れおののくって、そんな感じなんだわな。
それみて農夫と女の子は笑ってるが・・・笑ってる場合じゃねえんだよ!
「どうする・・・このままでいくのか俺は」
「とっても美しいですよ。ところでお名前聞いていませんが。お名前は?」
仕方ない、女子のかっこで、この世界で過ごさなけりゃあならんな。
男に戻るのは諦めるか・・・
ただ名前は。どうすっかね・
「教会に名前やそういった情報が表示される水晶玉があります」
表示される水晶玉?なんじゃろ?それは。
二人に連れられて教会へ行くと、司祭みたいなおっさんがいるわけだ。
「そうですか。あの水晶玉に手を当ててみてください」
農夫が手を当てると、目の前にゲームでよく見る画面が、フッと現れたんだわ。
それにその農夫のステータスが出てくるんだよね。
名前とか住んでいるところとか職業とか、そのレベルとか学歴だのなんだの。
マイナンバーカードみたいな感じ。水晶玉に手を当てるとか指紋認証だもんな。
次に女の子が手を当てると、同じようにステータスボードが現れたんだな。
クリスティ―ナ、16歳だ・・・個人情報がダダ洩れだが良いのかな?
俺が手を当てるとステータスボードが・・・出てこない。
「じゃあ、あなたはこの国の人じゃないってことですね」と司祭がいう。
「どうすれば登録とか出来る?」
「じゃあ、この用紙に書いてもらいますけど」
なんだか良く解らない字が書いてあるんだよねぇ・・・読めねぇ。
「司祭さんよ、この字が読めないんだけど」
「ああ、じゃあ私が読みますから答えてくださいね」
クリスティーナに手伝ってもらい、記入をしてもらうわけだ。
「名前は?」
ハタと困った・・・名前・・・今田直人とは言えないなぁ。
今は女の姿かたちをしてるしな。フッと思い出したのが
「ジャクリーン・ピエール、16歳」
昔見た映画の主人公の名前だ。
年齢は・・・見た目がそう見えたんだし、許せ(誰に?)
「じゃあ水晶玉に手を当てて」
何の変化も起らなかったが。「これで終わりです」
マイナカード作るときより、よっぽど簡単だわ。
カード持ち歩かなくてもいいし、手は斬り落とされない限り、ずっとあるし。
「ジャクリーンは今日どこか泊るの?」
「無いよ」
「じゃあ、ウチに来なよ」
「いいの?」
「いいよ、ねぇパパ」
「ジャクリーンが良いならね」
とりあえず今日の宿は決まったんだが・・・
さて明日からどうすっかな。
第1話 完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます