Werewolf Game
中田もな
Day1
“Are you a Werewolf?”
これに対する俺の答えは、「クソッタレ」だ。
「はい、夜が明けました、と。さて、人狼はどこのどいつだ?」
「ちくしょー!! 人狼の奴、後で絶対ぶっ殺す!!」
「はいはい、死人は喋らない」
アメリカの片田舎にある大学の、狭っ苦しい学生寮。その談話室で、今日も仲の良い八人が集まって、人狼ゲームで盛り上がっていた。
「俺は霊媒師なんだが、吊られたヤツは白だったぜ」
「ほら見ろ! 俺は人狼じゃねぇんだって!」
「だから、死人は黙っとけ」
大体、一度始まると夜通し続く。全員、明日の講義などお構い無しだ。
それこそ最初は、テレビゲームとかボードゲームとか、無難なものをやっていた。だが、誰が言い始めたのかは覚えていないが、とにかくグループのヤツが「人狼ゲームをやろうぜ!」と言い始めてから、もっぱらこのゲームばかりやっている。
「俺は、Willが怪しいと思うんだよなぁ」
Arnoldが、俺を名指しで怪しんでくる。これは確実に、吊られる流れだ。俺は小さく舌打ちをした。
この“Werewolf Game”だが、そもそものルーツはロシアにあって、その時は「市民」と「マフィア」を巡るゲームだったらしい。そっちの方がよっぽどいい。人狼だなんて、胸糞悪いったらありゃしない。
「Arnoldもそう思うか。実は俺も、Willが黒だと思ってた」
「まぁ、よく分かんねぇけど、とりあえずWillでも吊っとくか」
多数決的に意見が傾くと、今更弁解したところで覆りようがない。所詮、ゲームなんてそんなもんだ。
「うっせーな。吊りたきゃ吊れよ」
「おいおい、拗ねんなよ。自分の立ち回りのせいだろ?」
「そうだぞ、男が拗ねても可愛くねぇよ」
「クソがよ」
そう言う訳で、俺は吊られた。事実、“Werewolf”だったから仕方ない。そのあとはなし崩しで、もう一人の人狼が暴露され、ゲームは市民の勝ちで終わった。
「おい、Chipsが切れちまったぞ」
「マジか。一旦買い出しタイムにするかぁ」
ダラダラと続きが始まりそうだったが、スナックがなくなったので一時中断となる。丁度いい、このタイミングで抜けようかと思った矢先──。
「はいはーい、俺とWillで行きまーす」
「おう、よろしく頼むわ」
──Arnoldが勝手に俺を指差して、買い出し役を引き受けた。こんな寒い中、外に行けって言うのか。しかも、Arnoldと二人で。心底ダルくてしょうがない。
「さ、行こうぜ、Will」
「めんどくせぇ……」
幸い、近くに店ができたとは言え、何か悲しくて、男二人で買い出しなんて……。
俺は渋々、本当に渋々、重い腰を上げた。
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