第18話 〈多角回廊〉への侵攻
結果は良好だった、〈アッコ〉はもう泣いていない、クスクスと俺の体の下で笑っている。
俺がヘタだから、笑っているんじゃないよな、とても不安になってしまいます。
「〈アッコ〉は、美人で良い女だ」
「うふふっ、そんな事はないですよ。 でも、もっと言って」
「〈アッコ〉は、綺麗でそそる体をしているよ」
「んう、もう。 使徒様はいやらしいです。 うふふっ、私の事を気に入っているのですね」
「そうだよ。 絶対に離さない」
「うふ、ずっと離さないで欲しいです。 でも今は離してください。 準備が整ったので、〈
「えっ、信仰って、神殿だからなの」
全く違っておりました、神殿の奥にぽっかりと空いていた洞窟が、〈多角回廊〉らしいです。
〈アッコ〉は質問にほとんど答えないまま、バッと俺を押しのけ素早く服を着てから、神殿の外へ駆け出していった。
あっ、お
せめてそれを
それほど急いで何をしようって言うんだ、嫌な予感がヒリヒリとしてくる。
〈アッコ〉が連れて帰ってきたのは、
うそだろう。
戦争でも、おっぱじめようとしているのか。
戦士は俺の事を、うやうやしく見ているが、五人ほどの若い戦士が挑発的な目で見てやがる。
俺は使徒様と呼ばれているが、それに反発している人もいるらしい。
これは、ちょっと危ういな、神殿の外には出ない方が良いのかも知れない。
「ほほっ、使徒様。 いよいよ〈多角回廊〉の侵攻が始まります。 私は
長がすごく張り切っているのが、超絶ウザい。
鉄で作った簡単な
本格的な武装じゃないですか、手には長い槍まで持っているし。
「はぁ、侵攻って何だ」
「そのままです。 使徒様に下げ渡して頂いた資源を、
魔鋳造ってなんですか、猫でも食べられそうにありませんね。
俺が異界へ運んだ不用品が、どうして兜や鎧になるんだ、おかしいだろうが。
「使徒様、ご心配は不要です。 真の巫女である〈アココ〉が、神秘術で必ずお守りします」
「えっ、〈アッコ〉は神秘術なんてものが使えるの」
ここは異界なんだろうけど、神秘的な術が使えるなんて、ファンタジー過ぎる。
「えぇ、使えますとも。 三回だけですが、使徒様の精を撃ち込まれましたので、〈守りの
えぇっと、やったのは三回だったかな、覚えていないな。
「それでも、戦闘には参加したくない。 俺は平和の方が向いているんだ」
「うぅ、やはり使徒様は、私を捨てられるのですね。 もう私を抱きたくは無いのですね。 とても悲しくて、私は死んじゃいます」
〈アッコ〉がポロポロと涙を流すもんだから、俺はつい「うん」と言ってしまった。
決してスケベ心が勝った訳じゃないぞ、嬉しそうに笑う〈アッコ〉が見たかっただけだ。
この侵攻が終わったら、色々とエッチなサービスをしてもらおう。
俺は、〈アッコ〉へ親指を立てて、サムズアップをしてあげた。
当然ながら親指は、あそこを見立てている、俺のは
現実では無い理想だけどな、夢を見てもいいじゃないか。
〈アッコ〉はヘッという感じの素の顔になっている、そんな、俺の意図は何も伝わっていないらしい。
落ち込んでいる俺は、手を長に引っ張られ、〈アッコ〉に背中を押されて、〈多角回廊〉の方へ進まされている。
逃げるかと思い、後ろを見たら、戦士集団に逃げ場を
せめてものお
戦士集団の半分は、俺達の前に展開しているのが救いだ、しっかりと俺をガードするんだぞ。
〈多角回廊〉に出る敵は、どんなヤツか知らないが、前面の戦士集団がやられる前に逃げよう。
俺はそう心に固く誓う。
ただ俺が持たされている武器がおかしい、棒の先にでっかい
この釘は、〈さっちん〉の高校から引き取った、不用品の中にあったものだな。
どうして俺のは槍じゃないんだよ、錆びた釘になんの意味があるんだろう。
ありうる事だけど、あそこの大きさに合わせているんじゃないよな。
そうなら俺はキレて帰らせていただきます、例えそれが真実であっても、真っ向から否定したい、違うと言い張るぞ。
それが俺の生き方だ、アレがおっきいのなら、こんな事に
それに兜や鎧が俺には支給されていない、丸腰だよ、かなり心配になる。
〈多角回廊〉と呼ばれる洞窟の中は、ぼんやりと薄暗い、未知の穴だよ。
天井も床も壁も、全てが石を組み合わせたもので、出来ている。
頑丈そうな造りで、まるでどこまでも続く石の
あっ、犯罪はしたんだ、忘れていたよ。
それは良いとして、いかにも何か、得体の知れないものが出てきそうだ。
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