第30話そして二年

 命から知らせを聞いた四日後嵐で都はぼろぼろになった


 地震が起きた後なので酷い有様だ


 都では天皇に徳が無いのではないかと呟かれ出したと同時に早良親王の怒りを収めるために各地でお経が読まれたそんな中で私は周りに合わせながら普段通り生活をしていた


 二年が経った頃遷都に向けての動きが活発になった


 天皇が御座す内宮は既に造営され、十月頃に天皇が遷都される、その後に都を広げていくため、下位階の者達は長岡京で勤め続け住処ができ次第移動する予定であるが


 私の目的は叡を止め、早良親王の怨念を浄化する事なので天皇の遷都の後を付けて行く事にする、命との打ち合わせもしている


 そして遷都当日、天皇が皇居から出てきたと同時に命が


「それじゃあ、調べるね」手筈通り叡を捜しだした


「あっ、いたっ、こんなところに!?兄上あちら北東の空にお願い」


「よしっ、朱雀盛大に行け」


「うん、ようしみんなあっちだ」朱雀の号令で雀が百羽ほどが命が指した北東方向へ飛んで行くそれを見ていると空が歪む


「なぜ分かった!?」


 空に薄らと叡っぽい苦しそうに歪めた顔が現れる


「よしっ、今だ!!」


 命が神通力を使った呪縛をして叡を見えない小さな箱に捕縛する


「なっ、何!?この力はっ!なぜ命が使える!」


「稲荷大神から少し借りたんだよ」


「何!神が動いたのか!こんなものなど壊してやるわ!!」


 呪縛の中で叡が暴れ出す


「うっ、強い」


 命の顔が少し歪む


「今なら叩き放題だな」


 私は旅に出るだろうと思い用意しておいた杖に力を込めて閉じ込められた叡に叩き込んだ


「うっ、くそ、お前の力は一体何なのだ!?すまぬ、もう悪いことはしない許してくれもうそれ以上されると力が無くなってしまう」


「早良親王の怨念がある限りまだ叩くぞ」


 早良親王の怨念を浄化させるのが目的なのだから怨念が見える限り叩き続けた


「もっ、もう駄目だ、降参だ辞めてくれ」


 確かにもう早良親王の怨念は見当たらない、後どうするのか命を見て尋ねる


「どうする?」


「んー、先輩に引き渡そうか」


「そんな!?そうだ、早良親王の怨念なら別の所に分けて置いておるのだ、その場所を教えるのでそれは勘弁して下さい」


「どうする兄上?道理で以前より力が少ないと思った」


「何で天皇陛下をやる時に、力をわざわざ分けた?」


「以前貴方の力を受けた時に貴方ほどのお方がいたのならば深手を負う事は間違いないだろうと警戒しておいたのです命が神より力を借りるとは誤算でした」


「では、その場所を教えて貰おうか」


「はい、分かりましたその場所は新たに造営された都の北東の位置にあります」


 叡は従順にその場所を教えてくれた

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