第28話一方命と別れた滝雄
命と別れてから長岡京にある自分の屋敷に戻る、しかし自分の屋敷と言うが今は他に同居人がいる
「あー、疲れた」
やっとの思いで屋敷前に着く
命と初めて会った時は早良親王の怨念を確認するために平城京から長岡京へ行く途中だった
命と兄妹の契りをした後命とは別れて長岡京へ向かう途中で大雨が起きて長岡京の一部が水害に遭った、その一部に
全員が暮らすには狭いけど…
命に会う前の私は父の所業のため職場で肩身狭い思いをしながら早良親王の無実を証明しようと時間のある限り手を尽くしながら仕事をしていたところで、平城京にある東大寺の
早良親王の怨念を調べるために長岡京へ行く途中で命に会い兄妹になった後長岡京に行ったが早良親王の怨念を見つけられず仕事があるので平城京へ戻り普段通り生活をしていたら地震が起きた後に命が叡の居場所が分かったと言いに来たので叡を止める為に平城京の屋敷から徒歩で頑張って叡の元まで行き、先程叡を退けた、そして今は命の連絡待ち
東大寺には地震の被害が心配なので長岡京へ行くと言ってある
「ご主人様、早くお休みになられた方がよろしいのでは?ここまで牛車に乗ることなく御身自らでここまで歩きましたし」
「牛車みたいな贅沢品は経済的に無理だからね」
「滝雄様!?お帰りなさいませ、湊人様からのお便りを見て戻ってこられたのですか?お早いですね」
彼は湊人兄上の使用人で名をオキという
「便り?そんなのは受け取ってないね」
「おや、そうで御座いましたか、ではこちらに
「え?舟人兄上がいらっしゃるの?」
「はい、以前ありました地震で舟人様の屋敷が崩れてしまいこちらでお世話になると、便りをあちらの屋敷に出したはずなんですけど…」
舟人兄上は父多治比浜人の次男官位は元々低かったのが父の事件の煽りを受け降格されている、その為屋敷が良くなかったのだろう洪水の時は場所が良かったので難を逃れたが、地震で壊れたようだ
私の屋敷に被害はなさそうだけど
「母上達は地震で怪我とかはしなかったか?」
私の屋敷の周りは軒並み倒壊している
「はい、奇跡的に屋敷に被害が無く皆様ご健在です」
「それは良かった、私は旅の疲れを癒すよ、足洗いの水と布を持ってきてくれ」
「はい、畏まりました」
旅の汚れを落とさないとな足がパンパンで痛い
「ご主人様今良くない風が吹き始めましたので、屋敷の護りを強固にしておきます」
玄武がまた屋敷に結界を施してくれる今回の叡による災害は怨念が原因なので私の屋敷は玄武のお陰で被害が無い、有難い事である後で力を与えておかないとな
休む前に母上と海子姉上の様子を伺っておこう
私の屋敷は寝殿と奥殿と使用人小屋しかなく母上と姉上は奥殿で暮らしている
「母上姉上、滝雄です入っても大丈夫でしょうか?」
「あら、滝雄大丈夫よ」
とても機嫌の良さそうな声色で返事が返ってくる
「失礼致します」
本来殺風景な奥殿には置き畳を敷き屏風で仕切りの中に二人はいる、何をしているのかは分からないけど、屏風の手前にある円座に座り話しかける
「またも長岡京は大変な事になりましたね」
「そうね、少し揺れたかなと思った程度だったのですがこの屋敷が丈夫でよかったわ」
「母上、これも玄武の結界のおかげで御座いますよ」
「湊人の屋敷にもかけておくべきでしたね」
「あくまでも怨念による災害だけにしか効かない点が注意ですよ」
「あら、そうなの?でも次に湊人が与えられる屋敷にはちゃんとかけておいてね」
「母上気が早いですぞ」
「それがね滝雄、これから新たに都を建てるらしいのよ」
「またですか?長岡京が出来て10年もたっておりませんぞ」
「そうなのよ、だから次の新居話に花が咲いてたの」
「そうでありましたか、移動のための牛車を手配しておかないといけませんね」
「それは大丈夫、湊人がやっているわ」
「やっとこの狭い屋敷から出られるわね」
姉上が愚痴る
「私が至らずお二人には苦しい思いをさせてしまい申し訳ない」
「いえ、少し言い過ぎましたね、領地まで取り上げられては行き場所も無い中で雨風を凌げる場所があることはとても感謝してますよただ、私に恋文を送って来る初位階の男達から解放されると思うと嬉しくてついね」
「天皇陛下は早良親王の気を収めようと丁重な埋葬をされておりますからそれと同時に父上の罪を恩赦して頂ければ姉上に色好い縁が訪れるかもしれませんよ」
「そうなれれば良いわね、でも父上自身が認めた罪よ?そんな事有りえるかしら?」
「どうなるかは分かりませぬ、期待しすぎず希望を持って勤めて参りましょう」
「そうね、もしもの時のために和歌の勉強頑張るわ」
「滝雄はどうするのですか?」
「母上以前にもおっしゃた通り早良親王の怨念を止めるつもりです」
「とても素晴らしい事なのだけど世間に認められないのが悲しいわね」
「こればかりは早良親王の思いを守りたく」
「仕方ないわね今まで浜人さんが仕えたお方を無下には出来ませんし頑張りなさい、気を付けなさい」
「はい有難う御座います、それでは私は旅の疲れを癒してまいります」
「ええ、ご苦労様」
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