第23話命を振り切った後の兄叡視点

 命を払い除け長岡京へ行く長岡京の場所は把握しているので転移ですぐに着く、全く神も意地が悪い命をこちらに寄こすとは妹を見て思い直せという事か?少しは気が揺らいだが、今の私は怨念を取りこみ復讐で頭が一杯だ、それに春香はるかとの契約があるそれを履行しなければいけない春香のためにも、天皇のいる内裏はっと、これは…ご立派な結界を張っている天皇家に連なる神々の力もある、これを抜く事は今の私でも無理だろう、このように徹底的に結界を造るという事は後ろめたい事があるからだろう 、小賢しい、これは困った、これでは天皇をやれない。何か無いかと辺りを見ると一つ弱いところがあったあれは後宮、欲望が渦巻いて付け入る隙がある、天皇を直接出来ないのならば回りから潰して恐怖で震える中で最後にやってやろう。天皇に関係ある者共を片っ端からやってやる、天皇の母親に皇后、親王手当たり次第殺してやる、っむ!親王は護られていたか!くそっ、力を使い過ぎた、ならば、親王よ楽に生きれると思うなよ!天皇を直接はやれなかった、こうなれば近くに手頃な怨念は無いものか、怒りで満たされ強い怨念は…あった、これは丁度良い、冤罪をかけられ無罪を訴え断食の上で憤死した早良親王の怨念、天皇家の血筋で力も強い、しかも恨みの対象が天皇と内政に入り込んだ藤原氏族、これは好都合使わせて貰おう、これで春香との約束を果たせる、意気揚々と早良親王の怨念を取り込む…っく、何だこの強さは制御しきれぬっ!力の方向を定められない!?兎に角天皇をやらないとっ、放たれた力は見当違いな空へ放たれてしまった、くそっ、半端者の私では無理か、まずはしっかり力を馴染ませ使いこなす、制御に集中していると雨が降り出した、


「この雨は、先ほどの力を感じる?」


 天候を操るとはなんと馬鹿げた力だ怨念の籠もったこの雨が何をするのか興味が湧いた、力の制御に努めながら様子を見る、雨は、徐々に激しくなり三日ほど降り続いた、その結果長岡京にある川が氾濫し、都は洪水に、その後疫病が流行り数名の藤原氏が死んだ、都は酷い有様となっている、天皇はこの状況に苦しんでいる、素晴らしい、この力でもっともっと苦しめ殺してやる、この力と同化し、より自分の存在を高める、この力の高揚感素晴らしい、まさしくこれこそ神の領域!!自らの存在が薄れ自分は点ではなく空間に溶け込むように広がった、なんたる全能感すべてを把握できる!残念ながら天皇の護りの強固さがより明るみになる今の私でも無理だろう憎いが直接呪詛でやるのが無理ならば天災で都を壊し間接的にじわじわとやってやる。さっきの雨による災害ですら内裏に影響がない、もっとだもっと降らさないと空間に溶け込んだ事により周辺の雨雲をかき集め雲を大きくすることが出来る雨がまた降り出す雨は再び洪水を引き起こし都を蹂躙する疫病が流行り色々な貴族共が亡くなる、しかし天皇にまで届かない実に憎い、庶民から家臣まで犠牲が出ていると言うのに己の保身に力を入れ、のうのうと生きているなぜ神々はこんな奴を生きながらえさす春香を死に追いやるほどの事をしているというのになぜ!腹を立て憎しみを脹らませ力を膨らませる、憎しみで力が沸くと言うより怨念を焚き付ける感じだこれは良いだが、瞬間的な力は増せても怨念の総量が減る、これならば怨念が無くなる前に天皇をやらないと、今までの間接的な方法では駄目だ雨が駄目ならこれでどうだ瞬間的に上げた力を思いっきり地面に叩きつける地は揺れ都にあった建物を倒壊させてゆく、しかし天皇がいる内裏は崩れず憎しみは増すばかり、どうすれば天皇をやれる?


「やっと見つけた叡兄上!!」


 むっ、この声は命!?

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