第8話京都から家に帰ると
家に帰ってきたのは午後7時頃だった日が落ち見えにくかったけど遠目で家が変だなと気付いた、近づくにつれて違いが分かってきた、家が半透明で大きい亀の甲羅に包まれていたのだ。多分これは普通の人では見えないやつだ玄武が背中に付けてた甲羅に似てる
「お兄ちゃんお帰り」
玄関前で命と四神獣達が出迎えてくれる。
「ご主人様、お帰りなさいませ」
白虎は丁寧に礼をして出迎えてくれる沢山ある尻尾がピンっと上に上がってそれぞれがゆらゆら揺れている絡まないのだろうか?
「ご主人様お帰りー」
片手を上げてブンブンと降っている朱雀はご主人様と言いはしているが態度軽いな、容姿が子供だからこんな物かと思えてしまう
「龍雄様お帰りなさいませ」
青龍に恭しく出迎えられると現役を引退してすぐに開店した飲み屋のママさんに出迎えられたみたいな感じがする
「龍雄様、家の守りは済ませておきました」
「あっ、やっぱりこれは玄武が?」
「私と青龍で行いました」
「ん?龍雄何を言っているのだ?」
「あー、お父さん家の周りに何も見えない?」
「別に変わった物はないぞ」
やっぱりお父さんには見えないか
「龍雄様のお父様、家に邪気が入って来ぬよう結界を施しました」
「結界?命様が来たしもう非現実が日常になりそうだな…、そうだ命様!?」
「どうしたのお父さん?」
「うっ、えっとですなお名前を普段何とお呼びすればよいのかと思いまして」
「命って呼んでくれたら良いよ、あと敬語は要らないよ」
「呼び捨てなど恐れ多くそんなことは」
「じゃあ命ちゃんね」
「うん、お母さんそれで」
命はお母さんの軽いノリに賛同する
「なっ、お母さん!?」
「呼び捨てじゃないし命ちゃんも良いと言ってるし良いじゃない」
「俺は何て呼べば良い?」
「お兄ちゃんは命って絶対に呼んでね!」
「おう、分かった」
命の凄い勢いに少したじろぐ
「あっ、そうだあの後お兄ちゃん達伏見稲荷大社へ行ったでしょ?」
「行ったけどもう分かってるんだ?」
「うん、先輩がね喜んでたよ」
「何!?眷属様が喜んで下さったのか、その言葉が聞けるとはとても嬉しいぞ!!」
信心深いお父さんが真っ先に反応する
「今までの信仰は一方通行でしたからね、反応が返ってくるなんて夢のようだわ」
「ほっほほかっ他には何かおっしゃっては?」
お父さんちょっと落ち着くべきだと思う
「お礼参りに関しては他に何も言ってなかったよ、でもこの家で祀っている神棚に居座っている、眷属の先輩がお父さんとお母さんに言いたい事があるって」
「なんと!?眷属様の御言葉を頂けるのか!!」
「お話も長くなりましょう、中でごゆるりと語られてはいかがでしょう」
興奮するお父さんを玄武が何気に家の中へ誘導してくる、そういえばこの甲羅通れるのか?恐る恐る触ろうと手を伸ばすが感触がない手が何事もなく通過する。どうやら物理的に阻害はされないようだ
「ご安心下さい、この結界は邪気を昇天させるだけの空間ですので問題なく出入りできます」
「そういえば、邪気とか言ってるけど何それ?」
「人は他人を羨み妬む心があります、その邪念は邪な気流を産み邪気となり光がある所に寄せ付けられます、光を取り込み無へ帰するために寄ってきてしまうのです。所謂他人を不幸にして気分を晴らそうという足を引っ張る存在です、丁度こちらの揖保川家は邪気が発することなく、眷属様方が寄せ付けない状態でしたので邪気にとって光みたいなものでしたので邪気が集まるようになっておりました、今まで眷属様方が調整していましたが、今回龍雄様を命様がいたあの場所へ誘導するために邪気を利用してお父様の問題を誘導していたため家の中に邪気が入り込んでおりました、眷属様方が龍雄様ご家族に害がなさないよう上手くさばいておりましたが、一度入った邪気を取り払うにはその場にいる人の行動と心持ちが必要ですので完璧に取り払えていませんでしたので僭越ながら半分現世に出ている私共で対処させて頂きました」
「え?お父さんのあの問題って俺のせい?」
何気にさらりと聞き捨てられない事なんですけど
「間接的にはそうですと言えます、しかし実際に問題を起こした者が悪いのです、本来ならば問題が起こらぬよう阻止するところを悪意が入り込み安いように邪気を利用した状態です」
「もっと上手く俺を命の場所へ誘導できなかったのか?」
「眷属様方は天上の神様に比べて現世に近い存在と言いましても実体の無い存在、実体のみを信じる人を動かすには回り路をしないといけなかったのです、信心深いお父様であれば夢に出るなどすればよかったのですが龍雄様は無理でした、間接的にお父様に連れてきてもらおうとも考えたようですが、龍雄様は頑固で動かない未来しか見えずこのような弱みに付け込む形になりました」
「めっちゃ俺のせいじゃん!!」
衝撃的事実!俺が信じ込み安い奴だったらお父さんがああなる必要もなかった
「理路整然と振る舞う事は現世で生き抜くために必要な事ですのでそう気を落とされなくとも良いですよ、只見えない物が見えてくればすぐに考えを改める柔軟さが必要なのです命様と出会ってから考え方が変わった実感はありませんか?」
「確かにある」
家を包む甲羅を見て普通は見えない物だなとか思うなど今までの俺ならありえない、なんで熟練の霊能力者ぶってんだよ
「それは重畳、龍雄様は只頑固なだけではなく自分で見た物しか信じないだけだったのでしょう、新しい物をすぐに受け入れる柔軟性があるのならば、これから今までに無かった事を見聞きして取捨選択の後に自分の中に形として落とし込めば良いのです」
「んーでもよ、なんか俺のせいで一家離散の危機だったと考えるとやるせないっていうか…。」
「失敗をしない者などおりませんのでそう気を落とさず」
「うおおおおお!!コウ様セツ様!私にそのような御言葉をおおおぉ!今までの行いの全てが報われる思いですずずぅぅ」
突然お父さんの大きな声が神棚のある部屋からする
「あなた、良かったわね」
何事かとその部屋に行ってみれば神棚の前で塞ぎ込み咽び無くお父さんとお母さんの前に微かすかに白いモヤの塊が二つ浮いていてその隣に命が目尻を指で拭いながらお父さんとお母さんを微笑ましく見ていた
「え、何これ?」
「あ、お兄ちゃんこちらにいるお二方見える?」
命がモヤの方へ手を向ける
「モヤしか見えないぞ」
「あーやっぱり無理か、ここの神棚に居座っていらした眷属の先輩コウ様とセツ様だよ、お父さんとお母さんに伝えて欲しい事があったから私が伝えてたの」
「伝えたい事?」
「お父さんとお母さんの信心が嬉しかった事と、今回の問題が仕方なかった事を」
「うっ、それに関しては申し訳無い…」
「あ、それは大丈夫眷属の先輩方が事件解決をやる気満々だから」
「え、なんで?」
「お父さんは先輩方にすごく好かれてるから」
「何でそこまで好かれてるんだよ」
「お父さんはただ祈り、お願いするだけでなく自分で頑張って、その結果が予想以上なら感謝の祈りをする、その志しが好まれてるの」
「他の人も似たようなことしてないのか?」
「してるよ、そういう人は好まれ安いけどお父さんは、前世から信心深かったから生まれた時から好まれやすかったの」
「前世はどうしようもないな」
「そういうお兄ちゃんも同じだよ」
「俺にとっては命がそうか」
「そうだよ後、眷属だけでなく神様に好かれやすい人も前世が関係してるよ」
「前世って大事だな…」
「そうだね」
身も蓋もない話しだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます