第3話式神
命と話していると、袖が後ろから控えめに引っ張られ何かと思い振り向くと、
「ご主人様またお会いできて嬉しゅう御座います」
袖を摘まむ女性は顔を俯かせているので、ロングボブカットの髪が顔を隠してしまい表情すら分からない、彼女が着ているのが大正時代に流行った女袴だった
「ご主人様!?人違いですよ」
ブンブン空いている方の手を横に振る
「命様のお兄様であれば我等のご主人様ですよ!」
いつの間にか俺と命と白髪の女性の周りをグルグル走り回っているた半袖短パンを着ている赤茶色のロングヘアーを たなびかせる活発そうな少年がそんな事を言う
「我等?」
「そうです!!我等
「式神?」
走り回っている少年の腕に鳥の羽っぽいものがついている、先程袖を摘まんでいた白髪の女性には頭に白いミミと、腰下辺りから沢山の尻尾が出ていた
「もしよろしければ、また従事したいと希望いたします」
そう言って白髪の女性が頭を上げたのでやっとその顔を確認できた
年は30代ぐらいで目が猫目?となるとこの人は
「猫又?」
「はい!その通りで御座いますご主人様、第一番式神でありました白虎っと申しますこれからも末長くよろしくお願い致します」
「猫又で白虎?」
「はい、
「そういえば、さっきから
「御察しの通り、前世のお名前で御座います、元々滝雄様に仕えておりましたが、滝雄様の遺言通り命様にこれまで仕えてまいりました、命様から龍雄様に仕えても良いと御許しを頂けましたのでもう一度ご契約を」
「でも契約ってどうすれば?」
「私の頭を撫でてくださいませ、その際に元気になぁれっと思いを強く込めて下さいませ」
そう言って頭を俺の方に差し出してきた
よく分からないけど、本人がして欲しいと言うのでやってみる猫耳も触っちゃお
ナデナデ(げんきになぁれ!!)、猫耳触ろうとしても手が通り過ぎて触れることが出来ない、ちょっと残念
「はあぁぁぁ龍雄様のが入ってくるぅう」
「えっ!?」
突然艶なまめかしい声を出すので驚いて手をどける、耳に触れようとしてちょっと後ろめたい気持ちがあったし
「あぁんもっとぉ」
「こら白虎今度は僕の番だろ!!」
ナデナデをせがむ白虎を引き離してくれる少年
「えっと、君は?」
ちょっと白虎の反応について深く考えたくないので話を少年に移す
「僕は朱雀!!龍雄様よろしくお願いします」
白虎に朱雀、確かお爺さんが玄武とか言ってたし本当に四神獣だな…でもちょっと待てよ猫又に白虎だったしな…
「君は鳥だよね?品種は何?」
「僕は雀だよ、」
「雀かよ!?」
普通の鳥だった、それにしても朱雀と名付ける前世の俺何してんだよ···雀の漢字入ってるけどさ!
「え?僕駄目だった?」
少年が少しオドオドする
「いや、何も問題無いぞ」
前世の自分が問題なだけだから
「朱雀にも同じように撫でれば良いのか?」
「はい、お願いします」
ナデナデ
「うをおぉぉ~漲みなぎってきたあぁ~!!」
あれ?何だか力が抜けてきたぞ···
視界が歪んで立つことが難しくなってきた
ヨロ…
「はい、お兄ちゃんストップ!!」
気がつくと命が横から抱き支えていた
「やっぱり力が戻りたてだからここまでが限界だね」
「え?一体何が??」
命に支えられ意識が戻ってきたけどまだ力が余り入らない
「お兄ちゃんは白虎と朱雀に霊力を分け与えてたんだよ、霊力は思いや気持ちの力だからそれを使い過ぎると意識を保てなくなっちゃうの」
「思い、気持ちの力?」
「そう、未練や怨念がその場に残ったのが幽霊、それを感受できるのが霊感、幽霊の悪意から守るのが霊力·強い意思、でも強い意思があっても魂から霊力を出せるかは素質がいるんだけど、さっきお兄ちゃんに力を返したから出せるようになったけど、馴れないうちは沢山出せないから意識が飛びそうになっちゃうの」
「このだるさは治るのか?」
「うん、時間が立てば治るよ今回は私の力で治すね」
そう言って命は俺に強く抱き付く、しばらくすると意識がしっかりしてきた
「おっ、治ってきたぞ命ありがとう」
「良かった、朱雀はまだ残りの分があるけど、明日ね」
「うぅ~仕方ないか…ご主人様、2番は僕ですからね!!」
「ふふん、ご主人様の一番はまたも頂きました」
そう言っている白虎の毛肌の艶が潤っているように思えた、若返った様に見える、着ていた服、大正時代に流行った女袴まで光沢が出ているような…
「あれ?何か雰囲気変わった?」
「それはもう、ご主人様のお力を頂きましたから、やはりご主人様のお力は至高です、今までは命様にお力を頂いておりましたが、やはり違います」
「やっぱりお兄ちゃんの力の波長はすごいね、こればかりは真似できないから四神獣達には苦労かけてごめんね」
「いえ、命様の神通力に通じる大きな力をお受けすることは誉れなれど苦になる事などありえません!!」
白虎が必死に弁明している
「ご主人様のお力は多幸感がすごいもんね」
そう言っている朱雀もすごく元気そうだ
「それでは、以前の通りでいけば三番手は私ですね」
先程命に話しかけていた妖艷な女性が話に入ってきた
「えっと、あなたはおそらく青龍?」
「はぅぁぁあ!ご主人様が名前を覚えてくださっていたあぁぁん」
彼女は身を抱え悶える
「いや、ごめん四神獣と聞いて予測しただけだよ」
「ごほん、取り乱しまして申し訳御座いません」
すぐに佇まいを整え丁寧に一礼する
「君は龍…なわけないよね?」
「私はただの蛇ですわ」
前世の俺ぇぇぇえ!!
「あちらで、龍雄様のお父様お母様と話をしている老体は玄武です、ただの亀ですわ」
こちらの視線に気づいた老人が一礼をする
「他に式神はいないのか?」
「はい、おりません」
「滝雄様、命様共々我ら四神獣の同行を御許し下さいませ」
そう言って 一礼する青龍
「よろしくお願い致します」
「お願いします!!」
白虎と朱雀も青龍の横に並んで頼み込んで来る
「今俺は親と同居中だから、俺の一存では無理だよ」
即答を渋っていると
「福の神が来るようなものでしょ?良いじゃない、是非きて欲しいわ」
横からお母さんが話しかけてくる
「えっ、良いの?」
「疫病神でもないんだし、食事はいらないとかいってるし大丈夫よ」
「えっ食事いらないの?」
「はい、我々は龍雄様のお力を定期的に頂ければ十分で御座います、それと私は滝雄様式神四神獣四番目の玄武と申します今後ともよろしくお願い申し上げます」
玄武はそう言って一礼をする
ん〜その『四神獣』って言われると何だか恥ずかしいな…前世の黒歴史を晒されている感じがしてむず痒くなる
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