餓えるべき者達

世の中には同好の士が集まり活動をする、サークルなるものがある。

フライドチキン食べ食べ委員会というサークルは、年に一度『フライドチキン死ぬまで食べる会』(以降チキ死会)という会を開催していた。

同サークル専用のSNSと、外部へ向けて別サイトで宣伝などをして盛大なお祭りとして大量のフライドチキンを食べていたそうだ。


サークル発起人兼チキ死会の開催者である『屯牛舎』氏は、年間2000本以上のフライドチキンを消費するフードファイターであった。その日も屯氏とその他三名のチキ死会参加メンバーが、いつものように予約しておいたフライドチキン二千本を集まった野次馬の目の前で貪り始めた。


毎年の事であるので、野次馬達も彼等が勢いよくチキンをバキュームして行く様に声援を送っていた。

もちろん四人で二千本など食べきれるはずもないので、残ったチキンを皆でシェアしてこの会はお開きとなるのだが。

この年のチキ死会はまさに決死の覚悟で食べきりを目指していたようだ。


チキ死会メンバーの一人『勾勾勾』氏の腹が破裂すると同時に、残りの二人もそれぞれ左右の脇腹が割け、膨らんだ胃が勢いよく飛び出してきた。そのまま突っ伏した彼等三人を余所目に、屯氏は千五百本というフライドチキンを平らげた。

屯氏の胃は会の始まる前から切開されていたそうで、食べたチキンは床に全て落ちていた。


残ったチキン三十五本は彼等の墓前に今も手向けられている。

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