第5話

そんな事ばっかりやってる俺だから、自然と敬遠されるようにもなってたさ。


まだ十代の馬鹿をやりたい盛りに、こんな変人みたいな奴と付き合ってられなかったんだろう。


それでも俺とつるむ仲間も何人かいて、そりゃ毎晩楽しく遊んださ。



行く所は決まってる。



渋谷にある『メシア』っていうクラブだ。



大体タメ歳くらいの奴らばっかり集まるクラブで、気兼ねもしなきゃ、居心地もいい。


あんま大きな声で言えないけど、みんなはぶっ飛ぶ葉巻を吸ってばっかいたな。


俺?


俺は駄目だ。


あれをやるとオチる。

飛べないわ、浮かべないわで最悪だ。


だからメシアに行くといつも本を読んでいた。


普段はアホなんだから、こんな時くらいしか本を読む時間がないんだ。



メシアは狭いハコで、フロアを囲むように狭いボックス席があるんだ。



その一番見晴らしのいい中央の席。


そこにいつも寝っ転がってたんだ。



たまに酔いつぶれた女がしだれかかってきたけど、その時は迷わず持ち帰ってたな。


しょうがないじゃん。


……俺は男なんだから。

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