第11話
式場を無限の静寂が包み込む。
その深さに飲み込まれるんじゃないかとボンヤリ思う。
下手したら棺桶の中から「引っかかったな」とアイツが起きてきそうな気がする。
兄は頭を抱え込んでうな垂れた。
自分がこんなにも弱く、ちっぽけなものだとは思いもしなかった。
後悔ばかりが胸によぎる。
あの時ああしていれば。
この時こう言っていれば。
肩を震わせ、嗚咽が漏れる。
誰にも見せられない、兄の弱い姿だった。
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