第6話

ある女が弔問に来た。


涙のあとも乾かない頬が微かに揺れている。



「……なんで?」



そう。


なんで、だ。



きっとここに来る誰もがそう思っている。



なんで逝った?


なんで親友の手によって?


なんで最期に笑った?



聞いた話は兄にとってあまりにも残酷なものだった。



女は祭壇に伏して泣き叫んだ。

名前を呼んで、泣き続けた。



同じ男を好きになった同士だ。


二人には他にはない絆に似た意識があったのだろう。


さながら同じ戦場を戦う兵士の様な……。

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