「キャっ」

若葉の腰を引き寄せるとソファーの背もたれを乗り越えて、若葉の下に体を滑り込ませる。

ヨシキの膝の上に座る形になったことで、若葉は動揺した。

「もっと煽ってみろ」

腰を抱いていたヨシキの手が若葉のヒップをくすぐるように撫でる。

そのまま悪戯な指先が下着の腰のラインを意味深になぞった。

若葉はヨシキを見下ろした。

あれほど高圧的だった男が自分の下にいる。

もっとも、いまでもその鼻にかかる態度は変わっていないが“我を忘れさせてみろ”という唇に自分がヨシキより優位になったと感じる。

「早く」

その短く促す言葉が苦しげだった。

意図したものかは分からない。

ただその声色が若葉自身がヨシキを征服し、圧倒的王者になったと倒錯させた。

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