AM1:16

第32話

手元の鍵にピッタリとはまるコインロッカーを見つけるのは至難の業だった。



なんたってこの駅の南口コインロッカーは膨大で、使用率が高い。

鍵のささっていないドアに鍵を差しては落胆し、また差しては落胆しを繰り返していた。



だから最後、もうあいている鍵穴がほとんどない状況になったとき、差した鍵が最後まで滑らかに回った瞬間、若葉は歓喜に震えた。



そっと扉を開く。まるで宝箱を開けるかのように若葉の胸は高鳴った。



小さな暗闇に光が差し込み、中身が暴かれる。



若葉はコインロッカーの中に震える両手を差し入れた。

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