第6話

芋、豆、葉野菜、瓜。


色とりどりの野菜はかろうじて枯れてはいなかった。


安堵のため息をついたキティは素早く布を取り払って、静かに降る霧雨を存分に作物にしみこませた。



その場にしゃがみ込んで、緑の肉厚な唐辛子をなでた。


唐辛子は霧雨に濡れ、つややかに光っている。


これで洞窟住人達の栄養がわずかばかり保障された。


次に豆をみた。こちらも順調で緑のさやに生えた産毛が雨粒を抱いていた。


手を伸ばして豆をひと房もいだ。


少しばかり住人達への土産にしよう。そう考えた。

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