第2話

大きな溜息をつきながら扉を開けたのはサイード。


その様子に今日のお手伝いが過酷な労働だったんだなって感じた。



「…疲れた」


「ファビオおじさんのおうち、かなり壊れてたでしょ?」


「よくあんな所に住んでたな」



どっかりと椅子に腰掛けたサイードは信じられないといった表情。



「この辺りは体力仕事が出来る男の人がいないから。サイードが来て喜んでたよ」



テーブルの上にスープとライ麦パンを置くと、サイードは慌てたようにかき込んだ。


この様子じゃファビオおじさんに相当こき使われたみたい。


向かい合わせに座った私は手を合わせるとサイードとささやかな夕飯を囲んだ。



「一日中家の修理をやってやったのに礼は少しの鴨肉だけ。あのじいさんケチだな」


「鴨肉は滅多に手に入らないからご馳走だよ」


「市場に行けば腐るほど売ってる」


「毎日買える裕福な人なんて居ないよ」

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